片目できみの穴ぼこを覗く
薄い肌の色の上で毛細血管が走っている
にせものの目をくりぬいた痕

指のない手で抱き寄せる
香水の甘い匂いは、とてもお腹がすく匂いだ
いびつなかたちをした部屋が
ゆるゆると揺れる
閉じることのないまぶたは薄く
ぼくは傾いたまま、そこへキスする

がさがさにかわいた皮膚が
鱗と同じように落ちて
肉は血を失った色のまま削げ
細い骨と、細い血管の浮かんだからだで
きみはまた目を失うのか

甘い匂いを揺るがして
ぼくはひとつ、君の肩へ歯形をつける
左側の見えない君
僕の位置はいつも右に

ぼくだって欠けた手で君を抱くよ
きみだって失くした目で僕を見ればいい

異形のすがたはなにも取り戻したりしない
不自由なことなんてなにもない
零れ落ちた鱗は光ってる
にせものの目にもぼくはうつる

どこかに転がってるぼくの指は
きみの目を抱いているだろう





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