君がすきだという歌を
僕はいちども良いと思えなかった
死にたがりのひとの目なんて
にどと見たくなかった

夜の神さまがふるい聖書をひらく、
そんな絵
ほんとうは何も信じてないんでしょ
だから描いては僕に見せるんでしょ

うすい皮膚のしたには
同じ血が流れているのに
君はいつもかなしいね

海をしらなかったけど僕はうまれたときから泳げたよ
見たことない世界なんてそこらじゅうにあるけど不幸ではなかったよ

なんども、なんども、嘘をついて
それでもどうして生きてゆけないのか
どれほどかなしい物語を読んでも
僕には分からなくて

晴れた空が地面にふたりのかげをつくる
柔らかな頬があかく染まってゆく

あたたかくて、さみしくて、
だけどほかに誰もいない
隔たったからだをつき破ってしまいたい
それでもきっと交じり合えない
僕らはもう二度と
願い
なんて言えない海になりたい





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