永い永い氷河のなかで
凍餓を繰り返しながら
致命傷にもならない病巣に
ふたり一緒にいた
時を経て
それが特別になればなるほど
僕らは許されるような気がしてた

暗い路を通り抜けてとうとう産まれ落ちる
別たれて僕らははじめて抱き合う
いちばん最初に覚えたやりかたで
へその緒を切る

見送らないで、見送らないよ、
その身に陰刻するように
ぜんぶ言った
ひとつ残らず僕の全ては君に言ってしまった

今日のために世界が白いなら
灯火は消してしまえ
凍えた血でそそぐ沈黙
それだけが僕らを自由にする

巡りあうことばが
どこまで行くかは知らない
だれひとりとして
最期まで見届けることはないのだろう





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