ばら色の夜、
海原の音、
冷たい手で君の頬に触れる
君は目を閉じない

分からない、とその口は言った
うれしそうに言った
だけど悲しそうにほほえんだ

剥ぎとられたものたちが
どんどんと捨てられていくなかで
ひとつの肯定が
どうにかして作り上げられてゆく

( だれにも言わないけれど
  ほんとうは西へ行きたかった
  この河が海へと混じるとき
  舟も櫂も砂になり
  僕もとうとう海鳥の一匹になり
  凝り固まった両手のかたちを失くせると思っていた )

君の答はとてもかんたん
僕をとどめる美しい献身
いつもこの身をあらわにして
僕は脱がされる幸福を
はじめて知るのだ





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