光るきのこ、月夜茸(ツキヨタケ)のお話

 
光るきのこ、月夜茸(ツキヨタケ)。
夜になるとぼんやり光るので、この名前が付いたと言われている。
「ランプテロフラビン」と言う発光物質で光ることはわかっているが、
一体、何の目的で光るのか、
どう言う状況になれば光るのか、謎に包まれている。
まさに森の命の不思議だ。



主に枯れたブナの木に付くと言う月夜茸。
大きいものは、かさの直径が20cm以上にもなる。
椎茸によく似ているが、猛毒。
間違えて食べて、食中毒になる人が多い。


 

     (2009年9月  大台ケ原)





 



新月の夜、暗闇に目が慣れてくると、
月夜茸は、白くぼんやりと浮かび上がる。
快晴の星空をバックにおよそ2時間の露光。
仕上がったフィルムには、緑色に妖しげに光る月夜茸が、輝いていた。


      



何度か夜の月夜茸を撮影したが、いつも緑色。
しかしこの時だけは、何故かオレンジ色に写っていた。
見た目には、何の違いもなかったのに。
何故?何故?何故? わからないことだらけだ。

      




撮 影 後 記

(2006年9月)
今から5,6年前になるだろうか。
白神山地の森の写真集の中に、夜に発光している月夜茸(ツキヨタケ)の写真があった。
あまりの不思議さにびっくりしたことを覚えている。
その後、大台ケ原の撮影を続けておられるアマチュア写真家のグループの方が、
相次いで撮影に成功され、作品を発表された。
私も何とか撮影したいと思ったが、いつ頃、どこに行けばいいのか全くわからない。
撮影された方に大まかなことを教えていただき、明るい間に森の中を徘徊して探した。
月夜茸自体は、比較的簡単に見つけることができたが、
撮影に適した場所に、群生している所は、なかなかない。
それと何より困ったのは、月夜茸の個体の寿命が、おそらく4、5日しかないであろうと言うこと。
せっかく見つけてあった良い場所もいざ撮影に行くと、もうきのこがだめになっていたりした。
撮影に挑戦して3年目の2006年夏、ようやく少しましな作品ができた。
ほっとした反面、満足できるものではない。
夜の森巡りは、まだもう少し続きそうである。

(2009年9月、追記)
月の無い快晴の日、朝からツキヨタケを探しに森に入った。
あった、あった、1本の樹に50個以上は付いているだろう。
その夜、祈るような気持ちで、再び森へ。
暗闇に目を慣らすこと数分。
ツキヨタケは、白くぼんやりと光っていた。
跳び上がりたい程の喜びを抑えて、慎重に3台のカメラをセットした。



お願い

大台ケ原の自然環境保護と、植生保護のため、撮影場所のお問い合わせには応じかねます。
ご理解の上、ご了承下さい。
また立入り禁止区域に入っての撮影は、ご遠慮下さい。









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