お隣のガンマ宇宙域で「スター・トレック」の撮影が始まった。いま放映中の「スター・トレック」はシリーズ第3弾の"deep space nine"だが、ワーム・ホールが売り物。バルタン星のすぐ近くにこれがあったことが、ここが撮影地に選ばれた最大の理由だ。 バルタン星では地求のテレビが見れる。衛星放送の電波がそのワーム・ホールを通ってバルタン星にまで届いてしまうのだ。「スター・トレック」の撮影は、地求でいえば、大河ドラマのロケが家の近くで行われているようなものだ。バルタン星人はたいへん興味をもった。 そんな時に「スター・トレック」がエキストラを募集していることが明らかになった。バルタン星ではこれに何万人もが一斉に応募し、なんとか出演することに誰もが必死だ。 合わせて巻き起こっているのが「英会話ブーム」だ。「スター・トレック」は英語で撮影が行われているので、英会話ができれば「セリフのあるエキストラ」になるチャンスがあるといううわさによるものだ。しかしこれは単なるデマだという可能性もある。 さらに報告しておかなければならないことは、バルタン星人の身体的なアイデンティティともいえる「ハサミ」を切って普通の腕にする「腕転換」手術が近頃さかんだということである。一説によると、これも「スター・トレック」にバルタン星人ではない「正規の役柄」に採用されんがためだという。平和なバルタン星も、テレビのお蔭でいまや地求的状況である。 |