バルタン星のうそつぷものがたり
バルタンの文豪 イヴォジィキレール・バレバレダス作

第1話 ショーバイ・ショーバイ

 戦争は人と人がいがみ合うことによつて怒ります。
 その日もいつものように、オニシウスvとオハルタンエースがけんかをハデハデにやつていますた。
「へえ、こいたな」(おならをしただろ)
「こけへんわい」(しているものか)
「うそこけー」(うそをつけ)
てな銚子です。

 ところで、そんなことには無関係にショーバイをしている人もおます。ウハナコウです。ウハナコウはショーバイに弱そうなバルタン人を見つけてはふつかけていますた。
「絶対、こつちの方が得やで」
「せやけど…」
「まあ、よろしいやん。ほな、そういうことで、商売成立や」

 凸然、あたりが見えなくなりました。まぶしくてとても芽を明けていられませぬ。オニシウスvとオハルタンエースはいつの間ぬけ吹き飛ばされていますた。

 とうとう核戦争が怒つたのでした。世界は死に絶えました。いわるる「セカンド・インパクト」てやつかも知れません。もうこの世界に生きているのは、ゴキブリばかりでありますた。昔、核戦争が怒つてもゴキブリだけは生き残るていわれていますたがほんたうにそのたおりになつたのですた。あと、生き残つているバルタン人はオニシウスvとオハルタンエース、それにウハナコウのたつた3人きりですた。

 ようやくオニシウスvが気がつきました。まわりを見回すとそれまであった家や森やら何もかもがすかりありません。バルタン人もいません。オハルタンエースが気がつきました。
「おい、どないしたんやろ」(ねえ、どうなっているんだろう)
「知るけ、あほんだら」(知らないよ、バ〜カ)
「そんな言い方はないやろ」(そんな言い方はないだろ)
「なに言うてけつかんねん。やるか」(何を言ってんだい。やる気か)
「おう。かかってこんかい」(おう。かかってきやがれ)
 二人は核戦争が怒る前と同様にけんかをハデハデに始めました。まったく懲りないバルタン人たちですた。ゴキブリ並みです。生き残るはずです。

 そのころ少し離れたところに、もう一人の生き残りウハナコウの姿もありました。かがみこんでなにやら話しています。
「ええもん、あるんやけどな。安うしとくで」
 ウハナコウはショーバイに弱そうなゴキブリを見つけては早速ふつかけていますた。

(別にめでたくはないけどオワリ)

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