養殖の一年(あなたの竿に掛かるまで)

毎年10月中旬から終わりにかけて採卵が行われます
親魚(しんぎょ)は約3000〜4000尾養殖されます。
1尾のメスから約700〜1000粒の卵が採れます。
このときの体長は30センチから40センチです。

11月終わり頃、発目卵(はつがんらん=目が出来た卵)となります。
この頃、検卵という死卵を取り除く作業が行われます。
毎年約70%の生存率です。
上の写真の白いものが死んだ卵です。
これを竹で出来たピンセットで取り除き、下の写真のように
赤い発目卵のみにします。
この作業をしないと死卵から水カビが発生してまわりにまとわり
つきます。そのため、水が流れなくなり酸素か行き届かなく
なって生きている卵が死んでしまいます。
この作業が終わると来年度の親魚を選別して養殖します。
メスは2年経たないと卵を持ちません。

こうして12月から1月にかけてこの卵が孵り、稚魚となります。
しかし、この段階でやく2割から3割の卵が孵らず死んでしまいます。
さらに、餌付けを始めると病気が発生し約3割から4割の稚魚が死んでしまいます。

こうして生き残った稚魚は、例年5月〜6月頃には2〜4gに
成長し、十津川各支流本流に放流されます。
左の写真は放流を待つ稚魚たち。
右は放流された稚魚たち
各河川により数箇所から十数箇所に分けて放流されます。

気象災害(出水・土砂崩れ等)や環境の悪化(自然林の減少に伴う水量の減少・広葉樹がないため山の土や石など雨とともに流入し川を埋め、 淵の無い川が増加、ダム・堰堤などの影響など)により自然環境(不自然?)では、なかなか生き残ることがむづかしくなってきているようです。
放流されたあまごは、自然という大変厳しい選別をうけて、翌年の春まで成長しあなたの竿を曲げるのです。