史上最大の獲物
 奈良県下北山村池原ダム
 2002年6月1日

 今年3度目の池原も、例のごとくよしべえ氏との釣行である。
 前2回は正直な話し、トップではおそらく釣れないだろうと思いながらの釣行だったので、気合いはあまり入っていなかったが、今回は違う!!必ずバスをゲットするべく気合いバリバリの状況である。
 池原は自宅から3時間。朝5時から釣り始めるので、前の日は仕事から帰ったら出来るだけ家でおとなしくしているのだが、この日に限っては、よしべえ氏も夜中0時すぎから釣具屋にルアーを買いに行くほど気合いが入っていた。
 この時のルアー選択が、この日の出来事全てに関わっていたことは、当然知る由もなく・・・

 今日は、車2台での釣行だ。最近車で走りに行っていないので、帰りに国道309号線を越えて天川経由で帰る予定である。このため、よしべえ氏のランエボ7と、我愛車STー202を出動させた。
 池原到着は午前4時45分頃。途中、ボートを牽引している車がのろのろとよけもせずに走っていたので、これが無ければもう少し早くついただろうに・・・貴重な睡眠時間がこんなところで削られてしまった。
 今回もボートは「ワンアップ平井」さんにお願いした。実は、昨年来のポイントが10ポイントたまり、今回のレンタル料は「ただ」これに便乗して、一番最上級グレードの40馬力ハンドリング使用のボートをお願いした。
 池原は6月1日から、平成の森周辺一体が動力無しボート(いわゆる足こぎと手こぎ)専用区となったらしい。確かに動力無しだと平成の森周辺しかまわれないだろうが、このあたりは実は池原でも一級品のポイントであるので、船外機付きボートでも多く釣っているのが実状だ。
 我々は備後一筋なので、影響ないが、本来ここで釣っていたボートが備後に流れる可能性もある。趣旨はわかるが・・・複雑な心境だ。
 専用区の説明と、「最近の状況は、午後4時からが熱いですよ」とのお言葉を乗船時に受けた。ボートに乗り込むと、さすが最上級。安定性は抜群だ。ハンドリング使用は当然ながら始動もセル。今までみたいに必死こいてエンジンをかける必要もないが、燃費が悪いとの事で、予備タンクを積んでいるらしい。
 走らせてみると、もう「爽快!」の一言。いつもなら15分くらいかかる備後まで5分くらいで到着した。エレキも静か。うう〜ん!さすが最上級。よしべえ氏もすっかりお気に入りのようす。
最強ボート

 今回も、ルアーはトップ。よしべえ氏はポッパー、私はシングルスイッシャー(だと思う)。釣り始めて5分もしないうちに、私のルアーに「スゥー」と魚影が近づいたが、途中で深みに消えていった。
 さらに10分ほど後、今度は私のルアーを「ばしゃ!」と跳ね上げてバスが逃げていく。どうも尾ひれではじいたみたいだ。「今日は活性が高いな。この後が楽しみだ!」と思いながら、よしべえ氏と「ばらしたっす。これで今日の運を使い果たしたかも」と前にも一度吐いた台詞を口にする。しかし、今日の活性なら大丈夫のはずだ!
 よしべえ氏は最初のルアーがあまりお気に召さないらしく、二つ目のポッパーに変更。これが大当たりだった。早速水面を割ってよしべえ氏のルアーに食らいついたバスは43pだった。
よしべえ43
 さらにしばらくポイントを攻めると。またまたよしべえ氏にヒット!さい先よく2本をあげたよしべえ氏はリールを巻きながらほくほくしている。く〜っ!うらやましい!!しかし、惨劇はここから始まる・・・

 2本目のバスをあげたよしべえ氏。昨年購入して、まだ一度も使用されていなかったネットが既に2回も使用されている。私は大きさをチラッと確認し、「先程よりは少し小振りやな」などど思いながら、カメラとメジャーをとるために後ろを向いた。この時かすかに「ん!!」という声を聞いたような・・・
 メジャーを取り出し、カメラに手を向けた時、背中から「わか!やばい・・・」と力ない声。振り返ると、な、なんとよしべえ氏の親指からルアーとバスが生えているではないか!!!「いたい!痛い!!」と言いながら、顔面蒼白。この顔を見るのは、数年前の夏の日、よしべえ氏が足をつったあの時以来だ。
 この顔で事態の深刻さが伺えた。見ると、親指にフックが返しまでザックリと刺さっているではないか!!見ているだけで力が抜けてきた。ラインを切りバスをはずす。この間、バスが暴れてとても痛そうだ。無理矢理抜こうとするが、抜けない。これはいかんと、とりあえず桟橋まで戻ることにする。ここでも40馬力が威力を発揮。揺れないし早い。この船にしておいて正解だった。
ぐっさりルアー

 桟橋に戻るとちょうどワンアップ平井の店員「だいちゃん」が、別の客を連れてきたとこだった。よしべえ氏が状況を説明し、病院をさがしてもらったが、あいにく土曜日なのと、まだ7時だったので、病院が開いていないとの事。取りあえず、事務所まで戻って対策を考えることにした。
 結局、消防に連絡し、熊野市に入ったところにある「五郷診療所」に行くことになった。診療所には30分程度で到着。まだ8時頃だったので、開院の9時まで車の中で仮眠をとる。よしべえ氏も爆睡している。8時30分頃に受け付けのお姉さんが自転車にのってやってきた。中に入って待とうと中に入ると、親切にもすぐに診療を行ってくれた。
 私は待合いで待っていたが、「痛いで!」とか「ううんんんんん!!」とか声が聞こえてくる。しばらくたって治療が終わり、出てきたよしべえ氏の親指には包帯がぐるぐる巻かれていた。しかし、この診療所の方々はみんな親切だ。

 釣りばかの我々はこの後も池原に戻り釣りを続ける。9時30分ごろから再開し、4時までは、昼ご飯とか睡眠とかで、ちょこちょこ釣る程度。4時頃から気合いを入れ直し本格的に再開する。
 この後の釣果はよしべえ氏が20pほどのバスを1本追加し、私はさらに3本もばらしてしまった。どうも昨年ロッドをトップ専用ロッドに替えてから合わせがうまくいかず、バラすケースが多い。前の竿よりかなり柔らかい竿なので、もっとおもっきり合わせるべきなのか?とれともタイミングがずれたのか・・・扱いやすい竿だが、自在に操るには、もうしばらくかかりそうだ。

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