すばらしきかな渓流
 奈良県
2002年8月30日

 アウトドア用品メーカー、モンベルでは沢登りの講習を行っている。
 そのコースにバス釣りでよく行く池原ダムに流れ込む渓流がある。
 実は前々からその渓流はパラダイスという噂は聞いていたが、同時に「ちょっとやそっとの沢登り技術では太刀打ち出来ない本格的な沢」との事実も耳にしていた。なるほどいろいろな人のホームページには「死にかけた!」だの「過去に遭難者が・・・」だの恐ろしいことがかかれている。
 しかし、我渓流の唯一の同伴者「ひろ(今回からひらがな)」氏がモンベルの沢登り講習を受講。「多分大丈夫」との事だったので、8月最後の土曜日に自己記録更新を目指して挑戦することにした。
 現在の自己記録はアマゴ23p・イワナ25.5p。まだ「尺」を釣ったことがない。池原ダムでは50pのサツキマスがあがったりしているので、ひょっとしたらと期待に胸を膨らませていた。
 当日は、我々渓流チームの次の日(日曜日ね)に池原にバス釣りに行く「よしべえ」氏より「朝から豪雨」との情報が入った。渓流釣りに雨は好条件だが雨が降れば当然川は増水する。渓流は結構危ない場面に出くわすが、増水は命取りともなりかねない。加えて紀伊半島随一の難所と言われる沢である。不安に駆られながら、現地へと向かう。
 下北山村スポーツ公園の駐車場に着き仮眠をとる。午前4時頃「ざぁぁぁぁぁ・・・・」激しい雨の音がひろ氏の愛車を叩く。情報通り豪雨になった。しかし、この雨も5時すぎには小降りになり、ちょうど目も覚めたので、入渓券を購入し現地へ向かうことにした。
 入渓券はいつもバス釣りでお世話になっている「ワンアップヒライ」さんで購入。「川釣りもするんですか!」とちょっと驚かれる。現地に向かう途中の道からは、すでにバスボートがポイントに散っている池原ダムが。どんなポイントがあるのかじっくり見ながら車を走らせる。
 入渓ポイントを見つけて早速入渓。河原におりるのに吊り橋を渡ったが、その上からは巨大バスが数本・・・近くまでバスボートが来ていたので、つり上げられたかも・・・
 渓相は噂どおり、「すばらしい!」豊富な水量。落ち込みが至る所に出来ており、すなわちポイントだらけ。すでに吊り橋から笑いがこみ上げて来て、心うきうき!!
 今日のエサは雨に強いミミズと、ブドウ虫。前日帰りが遅くなったので、ひろ氏に購入してきてもらった。いままでの渓流はすこし短めの仕掛けの方が釣りやすく思え、さらにこの渓は難所のと事だったので、仕掛けを少し短くしてきたが、これが間違いだった。渓相は雄大。川幅も広く木の枝がポイントを覆っているということもない。フライでもねらえると思えるほど壮大だ。
 釣り始めてしばらくたつと、ぽつぽつとアマゴがあがってくる。しかし、ねらっている大物「尺越え」にはほど遠い。しかし、気分は爽快。空は雨模様だが、この渓は大物が潜んでいる雰囲気プンプンだ。どこからでも大物が出そうで、一振り一振りが楽しい。
 しかし、そうこうしているうちにだんだんと「難所」の洗礼を受け始める。
 この時期の装備はまだ夏装備。すでにへそのあたりまで水に浸かってポイントを移動している。水量が豊富なので、流れもきつい。気を抜くと本当に流されてしまう。しかも流された後は、深い落ち込み。対岸に渡るのも慎重に行かなければ・・・
 釣り始めてからしばらくはなんとか流れの緩いところ、岩が出ているところを選んで進んできたが、どうしても対岸にわたれないところにブチあたった。2度トライするが、途中で命の危険を感じ引き返す。3度目のトライ。今度はひろ氏が前を行く。ひろ氏はその体重と沢登り講習で得た知識技術を駆使して、とうとう渡河に成功!こうなったら行くしかない。ひろ氏にロープを投げてもらいそれをしっかり握り締めながら渡河。おそらく流されたら人一人の力では支えきれないんだろうが、まあ心の支えにはなった。何とか渡河に成功!その先の楽園をめざして釣り再開!

 難所の先は本当に楽園だった。しばらく釣り上がったところの淵で大物アマゴがヒット!岩の上から釣っていたのでハリスが切れないか心配だったが、強引に引き抜く。運良くハリスは持ちこたえこの日最大の22.5pのアマゴを釣り上げることが出来た。 アマゴ22.5

 この先は滝になっている。これは本格的にザイルでもないと上がれそうにないので、ここで一旦道路まで戻ることにした。少々強引だったが、何とか登れそうな箇所があったので、無理矢理登る。「これでも先ほどの渡河をするよりはまし」と思いながら登ったが、最後に対岸の道路に渡るためのつり橋が古くて心もとない。一応しっかりとワイヤーが岩盤に固定されていたので、木の板が腐ってないかだけ慎重に探りながらわたりきった。しかし、ひろ氏の体重ではちょっとワイヤーも負担だったみたい。途中で「ビン!ビン!」といかにも切れそうな振動が2回もひろ氏を襲う。対岸で見ていた私もこのときが一番ひやひやした。
ひろ氏 滝をまき、再び入渓。もうこの頃になるとすでに全身水に浸りながら釣っている。雨も降り出し体が冷える。しかし魚影の濃さに心はホットだ。
滝… そうこうしているうちにまたまたでっかい滝に突き当たる。これも超えれそうにないので、一旦車まで引き上げることにした。が!河原の脇に「展望台」の看板が!渓流ついでに簡単な登山気分を味わい2キロ上の展望台まで登る。展望台からの眺めは壮大!何メートルあるか想像できないほど大きな滝がとんでもない水量を落としている。

 車で少し上流に移動。この後もパラダイスは続く。相変わらず雨が降っており、「少し増水したかなぁ」と思い始めたところで時計を見ると午後4時。ちょうど三度滝が姿を現したところで納竿とした。

 しっかしこの渓は魚影も渓相もすばらしい。禁猟まであと1月だが何とかもう一度来れるだろうか・・・
 ああ!すばらしいといえば、ひろ氏が昼食に作ってくれた「チキンラーメン・梅ふりかけバージョン」も最高でした。

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