ヒョウモン類希少性ランキング2011年版


(2012年1月5日更新)

都道府県単位のレッドデータリストを見ていると、大型ヒョウモン類の衰亡傾向が目につきます。
京都府でも1980年代にオオウラギンヒョウモンが、1990年代後半にはウラギンスジヒョウモンが姿を消したと思われます。

他の種は今のところ健在ですが、いつどの種がいなくなってもおかしくありません。
例えばウラギンスジヒョウモンの場合、よく見られた頃にこの種が近い将来いなくなることを予想していた人がどれほどいたでしょうか。
ウラギンスジヒョウモンなどには誰も目もくれていなかったのです。

そんな状況なので、衰亡しつつあるヒョウモン類に注目しておくという意味でこのようなページを作っておくことにしました。
ランキングなどというと何か不真面目な感じがするかもしれませんが、ヒョウモン類への強い思いからくるものとご理解ください。

ここではヒョウモン類を山城地域における「珍しさ」を基準にランク付けしてみます。
ただ、それぞれの種により生息環境や生態に違いがあり、珍しい順番と言ってもいろいろな要素があり簡単には決められません。
ここでは次のような観点に絞って考えてみました。

●ランキングの基準・・・「夏眠前の新鮮な」「雌を」「(目撃だけでなく)採集する」ことの難しさの順番

1位 オオウラギンヒョウモン♀

再会することは不可能と思われるので文句なし。

2位 ウラギンスジヒョウモン♀

「どこかに生き残っている可能性は否定できないが・・・」と溜息をつくしかない高レベルの希少性と、
過去においても雌を見る機会が少なかった実績から。

3位 クモガタヒョウモン♀

3位以下は現在も確実に生息している種です。これらのランク付けは難しいものがあります。
最終的には、これら5種の雌が同時に目の前に現れた時に、どのような順番で採集したいかを考えることになります。
本種は生息地が限られることと出現期間が短いことから最も優先されそうです。

4位 ウラギンヒョウモン♀

4位と5位は特に流動的です。メスグロヒョウモンの今後の動向次第ではすぐに入れ替わる可能性があります。
本種の雄は狙って採れる種です。しかも場所によっては少ないものではありません。
しかし山城地域では初夏の雌にはそう簡単には出会えません。
飛んでいる時は極めて敏捷ですが、葉陰にでも静止していることが多いからなのでしょうか。

5位 メスグロヒョウモン♀

個体数の多い年には雄の観察はかなり容易です。しかし、樹林性でクリの花が好きなので飛翔位置が高く、
よほど良いポジションを見つけないと飛び回っているのを眺めるだけで終わってしまうことになります。
個体数の多い年でも雌には出会いにくく、独特の敏感さもあって近寄り難い蝶です。
初夏のある日、異様に青く輝く美しい雌に出会い、緊張しすぎて採り損なったことがあります。

6位 オオウラギンスジヒョウモン♀

雄は狙って採れる種です。しかし本種も初夏の雌は不活発なようでなかなか出会えません。秋にはよく見るのですが。

7位 ミドリヒョウモン♀

残念ながら最下位ですが、雌には個体変異があるのでチャンスがあれば必ず採集する蝶です。
本種の暗色型は非常に魅力的な変異で、完全な暗色型なら3位くらいにランクされるべきものでしょう。

以上、2011年の初夏までの状況から判断した結果を示しました。
今後の変化に応じて更新していきたいと思います。

この中から第3の絶滅推定種が出ないことを祈ります。