山城地域ヒョウモン類希少性ランキング2012年版


(2012年12月22日更新)

昨年に引き続いて山城地域限定のヒョウモン類の希少性ランキングを試みました。
直近の2シーズン、山城地域では大型ヒョウモン類が好調です。
しばらく危機的な状態が続いていただけに、ホッと一安心といったところです。
改めて蝶の個体数には波があるものだなと感じます。
最近減った、絶滅の危機だ、と言う前に少し中期的な視点で見てみることも必要です。
ただ、ヒョウモン類に関しては希少化に向かっていることは確かで、
特に夏眠前の雌に出会うためにはかなりの努力が必要です。

基準は昨年と変わりません。

●ランキングの基準・・・「山城地域において」「夏眠前の新鮮な」「雌を」「(目撃だけでなく)採集する」
ことの難しさの順番

今シーズンは以下のような判断になりました。

1位 オオウラギンヒョウモン♀

2位 ウラギンスジヒョウモン♀

1位、2位は不動です。

3位 ウラギンヒョウモン♀

3位はクモガタヒョウモンを逆転して本種です。これは今シーズンの特殊事情によると言えますが、
年度ごとにランキングを検討するからには、こういうことが起こり得ます。
とにかく今シーズンはウラギンヒョウモンが少なかったのです。ましてや雌となるとなおさらです。
確認できたのは初夏に1頭と秋に1頭だけでした。

4位 クモガタヒョウモン♀

実質的にはクモガタヒョウモンが3位ですが、今年は上記の理由により4位です。
いくら好きでも贔屓してしまうとランキングの意味がなくなります。
生息地は極めて限定され、雄に出会うことも難しいことに変わりありません。
今シーズンは運よく雌に出会えたということかもしれません。
雌の羽化とウツギの開花のタイミングもちょうど良かったようです。
普通の年ならクモガタと思ってもことごとくウラギンに化けてしまうのですが・・・。
山城地域では屈指の珍蝶であることは強調しておきます。

5位 メスグロヒョウモン♀

年による個体数の変動が大きい種のように感じます。
いない年には全くと言っていいほど姿を見せません。
こんな時の雌はまさに高嶺の花、この世に存在することが信じられなくなるほどです。
そうかと思えば、個体数の多い年にはクリの樹冠を飛び交う多くの雄を見ることもあります。
こういう年にはクリの花に飛来する雌を見ることが十分可能です。
しかし、採集となるとクリの花は案外難しいのです。
いろいろな悪条件があり、捕獲できる確率が低くなります。
山城地域に本種の好きなオカトラノオが少ないのも困ったことです。
幸い今年は良い場所を見つけてメスグロヒョウモンを満喫することができました。

6位 オオウラギンスジヒョウモン♀

例年秋には本種の雌を見かける機会が比較的多くなりますが、今年の秋は特に多く見られました。
多くの個体を見ることで改めて本種の魅力に気づきました。
時々驚くような大きな雌がいるということです。
残念ながら今まで初夏に得た雌の中には、この秋に見たような大きな個体がありません。
是非とも初夏の新鮮な超大型の雌に出会ってみたいものです。
なお、今シーズンは秋には多くの個体を見ましたが、結局初夏には1頭も見ていません。

7位 ミドリヒョウモン♀

今シーズンも残念ながら最下位。
初夏にヒョウモン類の中では雌に出会える可能性が高い種です。
秋にもオオウラギンスジヒョウモンより場所を選ばずに見られます。
ただし、暗色型の存在があるため非常に気になる蝶です。
この秋にも明らかな暗色型を目撃しました。捕獲して確認できなかったのが痛恨の極みです。
何しろツマジロウラジャノメに見えたのだから普通ではありません。
暗色型の定義は不明ですが、少なくとも飛んでいるときに橙色が見えたり、
すぐヒョウモン類とわかる程度の色ではだめなのだと思っています。
山城地域にもどうやら「本物の暗色型」がいることを確信できたのが今シーズンの成果です。

以上、2012年の状況から判断した結果を示しました。
今後も変化に応じて更新していきたいと思います。

この中から第3の絶滅推定種が出ないことを祈ります。