2012年 山城メモ蝶


オオムラサキで来シーズンを占う PART V

獣除けの柵に困惑

寒さの緩むタイミングを見計らってオオムラサキの探索に。
山城西部の精華町〜京田辺市の様子はどうでしょうか?
精華町は御神木の環境改変以来不調です。今シーズンも少ないようです。
一方京田辺市は安定した状況でした。いくらでも見つかるという感じではないですが。


農道入口というポジションのエノキにて。(京田辺市)

京田辺市は何箇所か探してみましたが、どこも似たようなものです。


竹林の中にあるエノキにて。(京田辺市)

最後に見に行った場所で大変な事態が待っていました。
イノシシ除けの金属柵で農道が封鎖されていたのです。
しかもエノキまであと5mという場所で。そのままではどうしても奥に進めませんでした。
何とか柵を開けて進んだものの、今度は農道沿いの柵に阻まれてエノキに近づけません。
見事なほど厳重に柵が施されています。それほど獣害が深刻ということなのか。
今度はどうしても柵の向こう側に入ることができず諦めました。
夏には宇治田原町で電気柵に悩まされました。
最近このような柵が急増していて、蝶の探索に明らかな支障が生じるようになってきました。
本当に困ったものです。


オオムラサキで来シーズンを占う PART U

一週間ですっかり落葉

前の日曜日には黄緑色の葉をつけていたエノキもすっかり葉を落としていました。
今日は山城町〜和束町〜笠置町と回ってみました。
まずは山城町ですが今シーズンもいい感じでした。
山城町は案外オオムラサキが少なく、一昨年まで苦戦続きでした。
しかし、昨シーズンは良好で今シーズンも劣らず良好です。


個体数としては昨シーズンより多かった。(木津川市山城町)

それならばと難関の和束町の気になるエノキを見に行ったもののこれは駄目すぎる木でした。
和束町ではなかなかスカッとするような素晴らしい木を見つけられません。

最後に笠置町を見に行きました。
木の立地条件が悪いことと落葉の乾燥が激しかったのとで探し辛かったですが、
今シーズンも無事確認することが出来ました。
やはり今シーズンのオオムラサキ占いは「吉」のようです。


オオムラサキで来シーズンを占う

安定的状況が続くか?

オオムラサキの越冬幼虫の様子が気になる季節になりました。
ここ数年、成虫も越冬幼虫もオオムラサキは良好な状況が続いています。
それに連動するかのようにヒョウモン類や他のタテハ類も良好な気がします。
もしオオムラサキの越冬幼虫が多ければ来シーズンの蝶全般に期待が持てます。
期待と不安半々の気持ちで「オオムラサキ占い」に出かけてみました。
エノキは落葉というより紅葉の盛りで、黄緑色〜黄色の葉を沢山つけています。
それでも最近寒いので幼虫たちはすでに樹を降りているはず。
最初に井手の御神木を訪れました。根元に落葉はほとんどありません。
しかし、数少ない落葉に高確率で幼虫がいました。
クズの大きな葉にも「仕方なしに」という感じで幼虫がついていました。
中にはまだ黄緑色の個体もいて、樹上から降りてそんなに日が経っていないようです。


落葉が少ないためか、クズの葉にまで幼虫がいた。(井手町)

今シーズンもなかなかいい感じです。オオムラサキ占いは「吉」というところでしょう。
この勢いで・・・ということで難関の城陽市に移動。
嬉しいことに、ここでも好調だった昨シーズン並みの状況でした。


見つからない年が多い城陽で見つかると嬉しい。(城陽市)

もしやと思って手に取ったエノキの幹の地上1mくらいのところにひっかかっていた落葉にまで2頭の幼虫がついていました。
樹を降りる途中で、とりあえず静止していたのか、そのまま不安定な場所で越冬しようとしていたのか。


この葉の裏に2頭の幼虫がいるとは思わなかった。(城陽市)

こんなところにいるのなら・・・と幹の股に溜まっている落葉を調べてみると、
次々と幼虫が見つかって楽しくなりました。


しゃがみ込まずに探せるこんな場所にも案外多くの幼虫がいた。(城陽市)

この股の部分には昨シーズンも数頭の幼虫がいました。本能(習性)とは不思議なものです。


産卵の季節

アサギマダラはどこへ?

秋空を舞うアサギマダラを見たくなって南山城村へ。
昨年より訪れるのが遅くなりましたが、まだいるだろうと思ったのですが・・・、いません。
1頭たりとも姿を見かけませんでした。もう移動してしまったのか、今年は飛来しなかったのか。
アサギマダラは諦めてヒョウモン類に注意していました。
ウラギンヒョウモンが好きそうな場所で待っていると雌がやってきました。
初夏に会いたかったなあと目で追うも撮影のチャンスはなし。
オオウラギンスジヒョウモンの雌は何頭か現れました。産卵シーンを撮影できました。


草地のコケの間に産卵するオオウラギンスジヒョウモン雌。(南山城村)

そんな時、オレンジ色の蝶と黒っぽい蝶が同時に現れて、どちらを追うか迷っていると・・・
この黒っぽいツマジロウラジャノメのような蝶、ミドリヒョウモンではありませんか。
これはいくらなんでも黒すぎるぞと興奮が高まると共にどんどん遠くに飛んでいってしまいました。
逃した魚は大きいといいますが、まさに逃したミドリヒョウモンは黒かった。
やはり黒いのがいるようです。初夏に見つけるのは難しそうなので、
秋に採集して飼育するしかないのかなあと思い始めています。
帰りに、一度は行ってみようと思っていた不動の滝に行ってみました。


童仙房の最奥部にある不動の滝。個性的な滝だ。(南山城村)


ヒョウモン類が活動再開

ミドリばかり・・・

9月中旬になっても相変わらず暑く、野山から足が遠のいていました。
宇治田原にヒョウモン類の様子を見に行ってみると、暑い中すでに飛んでいました。
素早く飛ぶ個体が多く観察し辛かったですが、確認できたのはすべてミドリヒョウモンでした。
藪の中の木の幹に産卵している雌、雌雄で追尾飛翔しているペア、アザミで吸蜜している雌など十頭近く確認できました。
雄もいましたが雌の方が多く、初夏とは大違いです。初夏の雌はどこにいるのですかね。


飛んでいるときからオレンジ色とわかる雌ばかり。この個体が最も羽の痛みが少なかった。(宇治田原町)

ミドリヒョウモン以外はまだ活動していないのかもしれません。
他の蝶では、ウラギンシジミが目に付いたくらいで、あとはジャノメチョウやカラスアゲハの生き残りが見られたくらいでした。


山城にオナガシジミはいるか?

猛暑で蝶も飛ばない日々・・・

梅雨明け以来雨は殆ど降らず、暑い毎日が続きます。
野山を歩くには暑すぎるし、蝶が飛んでいるとも思えないのでしばらく自重していました。
いろいろな下見、様子見を兼ねて出かけてみると・・・やはり暑いだけで蝶はほとんどいません。
まずは木津川市のムラサキツバメですが、新芽は出ているものの幼虫が殆んど見当たりませんでした。
かろうじて1頭だけ確認。成虫は見かけませんでした。


ムラサキツバメの幼虫がいたシリブカガシの幼木。(木津川市)

今回はタイトルのような無茶な探索テーマを新たに設定し、まずはその下見です。
昨年あたりから浮上していたテーマだったのですが、実は現地にあるのが本当にオニグルミなのか未確認だったのです。
今日は実際にこの目で確認することが目標です。結果は確かにオニグルミでした。


オニグルミがいい感じで谷間に何本も生えている。

一応オナガシジミが葉上にちょこんと止まっている姿をイメージしながら、ルッキングしたり枝を叩いたりしてみました。
今回はクルミの存在の確認が第一だったのでこれで十分です。
蝶の姿はほとんどなく、元気だったのはウラギンシジミくらいでした。


動物の糞に3頭のウラギンシジミが集まっていた。

それにしても8月の山城での探索はまさに修行です。


真夏の飛騨にオオイチモンジを追う・・・PART ???

続・女神の降臨

6月は多くの女神たちとの出会いに感動の日々でした。
しかし、6月の女神たちはいわばプチ女神たち。
真の女神に会いに今年も懲りもせず。

気象庁の梅雨明け発表がまだ出ない中、自己流予報で「蝶の梅雨明け」を宣言し、雨の高速道をひた走りました。
夜明け前に着いた現地に星空はなく、どうやら曇り空。寒さを感じながら一眠り。
曇っているので焦る必要もなく7時頃に駐車場を出発。
蝶が飛ぶまでドロノキから蛹でも探してみようという感じでのんびり散策しました。


雲が垂れ込めて笠ヶ岳などの稜線は拝めない。(高山市)

ふと林道脇のヤナギの葉を見るとコムラサキの幼虫がいました。この時期にまだ幼虫がいるということは・・・
全体に蝶の羽化が遅れているのか?ならばオオイチモンジもフライング?
その分余計に蛹探しに熱が入りましたが、どうしても見つかりませんでした。低い位置にもついているはずなのですが。

時々陽が射すようになってくると蝶が少し飛び始めました。ヒメシジミ、コチャバネセセリ、ミスジチョウ、ヤマキマダラヒカゲなど。
やはり昨年より夏の蝶の羽化が少し遅れているようで、ミスジチョウは明らかに昨年の同時期より新鮮でした。


ヒメシジミだけはいつも元気一杯。新鮮な個体がほとんど。(高山市)


コキマダラセセリの雌。今年はキバネセセリは少ない。これから増えるのかもしれない。(高山市)

この日は天気の加減か登山者は少な目でしたが、採集者は相変わらず多かったようです。
10人(組)以上はいたはずで、全員オオイチモンジが目当てだったと思われます。
採集が禁止されていない地域に愛蝶家が集中してしまうのは仕方がない面がありますが、
大きなネットや長竿を手に林道をのしのしと歩く姿というのはちょっと時代と場にそぐわないような気がします。
あまりにも目立ちすぎるというか、登山者の目を引きすぎるというか。
こういうことが原因で将来の規制につながってしまうのではと心配になります。

そうこうしているうちに、その時は突然やって来ました!
山の静寂を破るように音なき音と共にドロノキの枝先に大きな雌が飛来しました。
今年も女神がやって来てくれた!


画像中央のドロノキ幼木に産卵した。(高山市)

メスグロヒョウモンやクモガタヒョウモンの雌などもかなり神出鬼没なところがありいつも驚かされますが、
オオイチモンジの雌はその比ではなく、心臓が止まりそうになるくらいの衝撃を与えてくれます。
昨年に続いて「次々と・・・」と女神の降臨を目の当たりにすることができ夢のようなひとときを過すことができました。


言葉に出来ない神々しさ・・・。(高山市)

卵も少し探してみました。
全体に蝶の羽化が遅れ気味と感じられる中、オオイチモンジの産卵はすでに始まっており例年並みと思われます。
産卵らしき行動がよく見られる割には卵は少ないので、新鮮な雌は葉に止まっても産卵しないで飛び去ることが多いようです。


ドロノキの葉先に産まれたオオイチモンジの卵。(高山市)

午後になると何となくもう現れないような雰囲気になってきたので山を下りました。

今回は帰りに温泉に入ろうと決めていました。オオイチモンジ絡みで、どうしても入っておきたい理由がありました。
これは実行さえすれば達成されるプチ目標に過ぎないのですが・・・。
山歩きの後の温泉、最高です。


念願の?露天風呂で疲れを癒した。人物にはモザイクを入れました。(高山市)

駐車場に戻った頃には梅雨明けを実感させられる夏空が広がり始めていました。
帰途、道の駅に立ち寄って飛騨牛の串焼きを味わうのが恒例になっています。
気分だけの問題ではありますが、夢のような女神降臨の情景を振り返りながらの串焼きはやはり美味しいのです。


いつも帰途立ち寄る道の駅。飛騨牛の串焼きが一番の目当て。夏空が眩しい。(高山市)


蝶は梅雨明け

山城地域のベストシーズン終わる・・・

最近は気象庁の発表する梅雨明けも曖昧になっていますが、
蝶に関わっていると実感としての梅雨明けの時期というのがわかります。
今年の場合は海の日を含む3連休あたりが蝶の梅雨明けです。
猛暑日、熱帯夜、クマゼミの鳴き声、局地的な大雨被害、天気予報が晴れ側に外れる、
ヒョウモン類の飛ぶ姿をほとんど見なくなる・・・、こうなると蝶は梅雨明けです。
梅雨明け後の山城地域は暑いばかりで目ぼしい蝶はいなくなり探索意欲は限りなく0に近くなっていきます。
かろうじてクロヒカゲモドキが7月下旬まで探索可能なくらいかもしれません。

そのクロヒカゲモドキの雌を撮影しようと宇治田原町に行ってみました。
樹液を覗いて見ると羽の痛んだオオヒカゲが来ていました。


樹液を訪れたオオヒカゲのかなり小型の雄。(宇治田原町)

クロヒカゲモドキは雌が飛び出してきて草に止まったので撮影しようとカメラを構えていると・・・、
間が悪く軽トラが横を通過してきて、その間に見失ってしまいました。
結局、確認できたのはこの雌1頭だけで終わりました。
アワブキにスミナガシの幼虫がいくつかいました。


スミナガシの幼虫。見事な保護色だが寄生されていることが多い。(宇治田原町)


7月らしい暑さはまだ

天気と休日の巡り会わせがちぐはぐで・・・

6月は夢のように過ぎ去り、いつの間にか良い季節はあと僅かに。
7月上旬の土日は天気がいまひとつ良くなく、仕事も忙しくて気分はいまだ盛り上りません。
そんな中、久し振りに宇治田原町を訪ねてみました。
早朝いつもの場所には蝶屋さんと思しき車があったので、午前中は新たな場所を求めてうろうろと・・・。
狙いはクロヒカゲモドキとヒョウモン類の雌です。
どちらも成果はありませんでしたが、クモガタヒョウモンに有望な場所が見つかりました。
ウツギの小道とでも言いたくなるような場所です。来年が楽しみです。
しかし、ここで山城地域で初めてヤマビルがズボンとネットにつくという怖ろしい思いをしました。
曇りがちの天気で蝶があまり飛びませんが、別の場所でヒョウモン類の集まってくるリョウブの木を見つけました。
ヒョウモンが訪花する位置は長竿でないと届かず、簡単には種名の確認がきませんでした。


リョウブに立てかけた長竿。届くのに採れないもどかしさ。(宇治田原町)

クモガタヒョウモンの雌に見える個体がいたのですが、振り逃がしてばかりという情けなさ。
振り逃がしても、しばらくすると同じ花に戻ってきてくれるのでチャンスは何回もありました。
しかし長竿はしなるので扱いがヒョウモンには難しいです。時期的にクモガタのはずがないのはわかっているのですが・・・。
結局オオウラギンスジヒョウモンの雄を確認しただけで終わりました。
ずっと上を見上げていたら、オオムラサキが飛んで行ったりしてなかなか楽しかったです。
最後に朝の場所にヒカゲ類の確認をしに行ってみました。


羽化直後のクロヒカゲモドキがよく飛び出す環境。(宇治田原町)

クロヒカゲモドキは雄の出始めというところか。オオヒカゲはさすがに最盛期を過ぎていますが、
雌はまだ新鮮な個体が目に付きました。
それにしても、これら2種両方に確実に出会えるとは、なんて素敵な場所でしょうか!
今では山城地域ではそんな場所はここ以外に思いつかなくなりました。


芳香を放つクロヒカゲモドキと特大のオオヒカゲ。(宇治田原町)


オカトラノオ大作戦

いよいよオオムラサキも登場!

6月は蝶の探索可能な土日が続いていて有難いです。
前日、クリの花で成果なく懲りたので、オカトラノオに注目することにし、行き先も自宅より西へ。
ヒョウモンの時期に行きたいと思っていた場所に行ってみることにしました。
現地に着くとアザミが咲き乱れ、待望のオカトラノオもあり、想像以上の好環境でした。


美しい里山の風景に気分は最高!右側手前にオカトラノオが見える。(京田辺市)

やはりオカトラノオのヒョウモン吸引力は凄い!メスグロヒョウモンが次々にやってきます。
相変わらず雌の美しさは格別だし、周辺の環境も陶酔するほどの美しさで文句なし。


オカトラノオを訪れたメスグロヒョウモン雄。(京田辺市)


オカトラノオを訪れたメスグロヒョウモン雌。(京田辺市)

オカトラノオのある場所の横にクヌギの木があり、カナブンやスズメバチの羽音がブンブンと聞こえていました。
ヒカゲチョウなども幹にまとわりつくように飛んでいて樹液が出ているようでした。
オカトラノオにメスグロヒョウモンの雌が来るのを待っていると、
突然巨大なメスグロヒョウモンが滑空してきて度肝を抜かれてしまいました。
これは何者だ!?・・・と思ったら、オオムラサキでした。飛んでいる時から真っ白な裏面が目立つ個体だったので、
スギタニ型かもと緊張しました。やはりオオムラサキの迫力は凄いです。


裏面の白い西日本的なオオムラサキ雄。スギタニ型ではなかった。(京田辺市)

オオムラサキは他にも1頭至近距離で目撃しました。
いよいよ真夏目前!!


台風4号が通過した後は・・・

あの賑わいはどこへ?

最近の季節の推移を整理しておきます。
6月17日・・・天気回復し、良い天気でヒョウモン類が飛んだ。メスグロ雌、ミドリ雄など。クリの花は盛り過ぎ。オオヒカゲが出始め。
6月18日・・・曇り。何とか探索可能という程度か。
6月19日・・・台風4号接近で、13時過ぎから暴風警報。
6月20日・・・台風一過の晴天とはならず。涼しい。ヒョウモン前半終了の気配。
6月21日・・・一日中雨。
6月22日・・・午前中は曇り、午後から晴れ間。土日の天気予報はまずまず。

台風4号とその後の本格的な雨は季節の区切りになったようです。
クリの花の最後の探索のつもりで行ってみた井手町の高標高地。
ここのクリはまだ盛りでヒョウモン類が飛び回っていました。木が高すぎて撮影、採集には不向きです。
メスグロの雌はいなかったので、飛んでいた多くはミドリヒョウモンだったかもしれません。


長竿を用意していたが手も足も出なかったクリの木。(井手町)

この場所では、本当はゼフィルスの良いものが目標だったのですが、訪花していたのはアカシジミだけでした。
次にクリの花期に間に合いそうな南山城村に向かおうとしたところ、
先日の雨の影響で斜面の崩落があったようで通行止めになっていました。
仕方なく和束町での探索となりましたが、ウツギの花が終り、クリも末期で、
蝶の姿はほとんどなく「あの賑わい」はどこにいったのか?という寂しさでした。


高い所から和束町南部を見渡す。(和束町)

帰りに木津川市に寄ってみたところ、オオヒカゲの個体数が増えており、
先週見なかったオオチャバネセセリが沢山飛んでいました。


晴れたあ〜!間に合った〜!

梅雨の晴れ間にメスグロを追う・・・

6月17日は雨なら仕事、曇りなら南山城村で「苦闘」の予定でした。
朝はやはり曇りで、黒い雲が立ち込める中出発。
ところが加茂あたりで真上の空が晴れてきました。これはいけるかも〜!
これから向かう東の南山城村方面の空にはまだ黒い雲が・・・。
とにかくヒョウモンは太陽の子、今の晴れを大事にしよう、ということで急遽探索場所を木津川市に変更。
メスグロヒョウモンは木津川市でも十分に期待できます。
クリの花は京田辺市と同じく盛りをやや過ぎた感じで少し茶色くなっていますがまだ蜜源としては十分な状態。
山あいの水田の回りにはアザミやヒメジョオンが多くいい感じです。


畦にはアザミやウツボグサが咲き乱れ美しい。(木津川市)

到着してすぐ、クリに濃いオレンジ色のヒョウモンがまとわりつくように飛んでいるのを見つけ、
訪花しないかと見上げていると、突然目の前のクリの花にメスグロヒョウモンの雌が舞い降りてきました。
メスグロの雌はいつも神出鬼没で、独特の身のこなしをする蝶なので、とても緊張してしまいます。
メスグロヒョウモンは最盛期のようで雄はものすごいスピードで林縁を飛び回り、
時折クリやヒメジョオンに訪花します。
雌は雄に比べると格段に少なく、新鮮な個体の放つ青い幻光に心を奪われました。

花場を求めて水田と林の間を歩いている時にオオヒカゲが飛び出してきました。
このあたりはもともとかなり湿潤な土地のようで、オオヒカゲが一帯に生息しています。


オオヒカゲはまだ個体数が少なかった。(木津川市)

少し驚いたことにオオヒカゲ目的の採集者と出会いました。この場所で採集者に出会ったのは初めてです。
今の時期はウラナミジャノメやオオヒカゲを追うのが普通の行動パターンなのかもしれません。
しかし、この日はとにかくメスグロヒョウモンが目的なので、薄暗い場所には目もくれず花の多い場所を見て回りました。
訪花性に関しては、少なくともこの日に限れば本種が好んで訪花するのは、
クリ>ヒメジョオン>アザミ、の順でした。アザミも多く咲いており、一番似合うと思うのですがなかなか来てくれません。


メスグロヒョウモン雄。ヒメジョオンはたくさんある割には訪花率は低い。(木津川市)

ヒョウモン類はメスグロヒョウモン以外にミドリヒョウモンの雄がいました。
ミドリが出ているということは豹紋シーズンもいよいよ後半に突入です。


メスグロヒョウモンのペア。雌は蝶界のレディ・ガガというべきか。(木津川市)

天気予報によると明日から当分梅雨空が続きそうです。
クモガタとメスグロの探索可能日は今日で最後になるかもしれません。
今日晴れてくれたことに本当に感謝したいと思います。


ああああヒョウモン日和が過ぎていく

休日は梅雨空に・・・

6月10日以降の季節の推移を整理してみます。

6月10日・・・午後遅くからようやく晴れてきた。クモガヒョウモン雌、ウラギンヒョウモン雌の良い時期。
6月11日・・・午前中は比較的好天。蝶の探索には十分だったはず。
6月12日・・・梅雨空。蝶は飛ばなかったはず。
6月13日・・・曇り。探索日和とまでは言えないと思うがヒョウモン類の活動はあった模様。
6月14日・・・真夏日。絶好の探索日和。ヒョウモンシーズン後半のBestDayだっただろう。
6月15日・・・午前中はなんとか蝶が飛んだはず。午後からは梅雨空、夜は雨。
6月16日・・・梅雨空、時々激しい雨。
6月17日・・・天気予報では午後から回復?

先週に続いて週の半ばの探索好適日(14日)を逃してしまいました。しかも土日は梅雨空らしい。
それでも土曜日昼過ぎの雨の止み間を狙って自宅近くの里山に行ってみました。


里のクリは盛り過ぎ。晴れたら蝶で賑わうはずだが。(京田辺市)

時々小雨の降る情けない状況の中クリの花を見て歩いてみたものの、シャクガが多数舞っているだけ。
わずかに薄日の射す瞬間があり、そんな時林縁をメスグロヒョウモンの雄らしき蝶が飛んでいきました。
低木の上をオレンジ色の蝶が舞いやがて静止したので、アカシジミかと思い近づいてみると、
随分長い間出会っていなかったウラナミアカシジミでした。


今や希少な存在になってしまったウラナミアカシジミ。(京田辺市)


ウツギにヒョウモンを追う

悩ましい6月・・・

6月は忙しい月です。仕事も忙しい、プライベートも忙しい、蝶も「いい蝶」が目白押し。
今年は迷うことなくヒョウモンの雌です。
和束町山間部の季節の推移を整理してみると・・・。

5月26日・・・イチモンジチョウがまだ出ていない。ウラギンヒョウモンも見ない。山間部のウツギは蕾多し。
6月2日・・・クモガタヒョウモンが出始め。ウラギンヒョウモンは見ない。イチモンジチョウがかなり出ている。
6月3日・・・前日と変わらず。オナガアゲハの新鮮な雌がまだいる。山間部はまだタニウツギが残り、ウツギはこれから。
6月4日〜5日・・・(多分)曇りがちの日が続く。
6月6日〜7日・・・恨めしい平日の好天。クモガタヒョウモン日和だったはず。
6月8日・・・入梅。
6月9日・・・曇り時々雨。

このように1年に数日しかないと思われるクモガタヒョウモン雌探索の好適日(6月7日)を逃しました。
6月15日を過ぎるとクモガタは厳しいので、6月10日がラストチャンスか。
ということで、どんな大雨でも出かける覚悟はできていました。
午前中は曇りがちで涼しい風が吹き、かなり悲壮感が漂いました。
14時頃からようやく安定して晴れてくるという具合でどうもちぐはぐな感じでした。
しかし、雨が降らなかったことに感謝しなければいけません。
ウツギの状態は低地ではすでに散りかけ、山間部では満開をやや過ぎているという状態か。


川沿いに点々と咲く白いウツギの花が美しい。(和束町)

それほど天気が良くない午前中はヒョウモン類が飛び回るという光景は見られません。
ウツギには、キタテハ、アカタテハ、イチモンジチョウ、コチャバネセセリ、ヒメキマダラセセリが多く集まっており、
ヒオドシチョウ、アオバセセリも1頭ずつ目撃しました。


ヒョウモン類と見間違えてがっかりさせられるキタテハ。(和束町)

ヒョウモン類は薄日が射すと忽然と現れます。ウツギは近づきにくい位置に生えている場合が多いので、
手も足も出ず遠くから撮影してみて、モニターで拡大すると確かにクモガタヒョウモンです。


遠いので豆粒のように小さいが確かにクモガタヒョウモンの雄。(和束町)

天気が次第に良くなってきた午後、望みを捨てずにウツギの花を徹底的に見て回りました。
嬉しいことにクモガタヒョウモンは少ないながら時々見つけることができました。
特に雌がひっそりとウツギに訪花しているのを見つけた時の感動は格別です。
クモガタヒョウモンという蝶自体も素晴らしいですが、ウツギの咲き乱れる6月の野山の風景、
クモガタヒョウモンを育む和束の自然が何より素晴らしいと感じます。
ついでにウラギンヒョウモンの雌も見つかり、豹紋シーズン前半のラストチャンスをものにすることができました。


ヒョウモン類で最も妖艶だと思えるクモガタヒョウモンの雌。(和束町)


コジャノメを追う!?

会えたのはやっぱり神社・・・

当サイトの「山城蝶類図鑑」には種毎に標本写真か生態写真を掲載していますが、
そのどちらもまともなものがなくて困ったのがコジャノメでした。
もう10年以上採集した記憶がありません。
要するに特に興味もなく、意識の外にある蝶だったわけです。
昨年(2011年)あたりから見つけたら採集しておこうと注意していたのですが、結局昨年は姿を見ることもなく終わりました。
今年も5月になってから心当たりのある場所にわざわざ立ち寄って探してみましたが、意外にも全然見つかりません。
あれ・・・なんでコジャノメにこんなに手こずっているのだろう?いつの間にか珍しい蝶になっているのか!?
うかうかしていると第1化の時期が終わってしまうので、そろそろ本気にならなければと思い、コジャノメだけを目的に探索することにしました。
かなり良いと思える場所二箇所に行ってみたものの敗退。これはもう大苦戦と言っていい状況です。
三箇所目は小さな神社の森というような環境です。クロヒカゲ、サトキマダラヒカゲ、ダイミョウセセリがいました。
ここでようやく見つかりました。


かなり苦労して見つけたコジャノメ。交尾ペアがいたりして、なかなか良い産地だった。(木津川市)

たくさんいるわけではなく、意外に敏感ですぐに繁みの奥の方に逃げていくので、必死で追いかけるという感じになってしまいます。
コジャノメを追いかけるなんていうのは初めての経験かも。
他の蝶がいないような薄暗い林床に生息しているために、出会う機会が少ないということはあるかもしれません。
しかし、以前のように簡単には見つからなかったのは事実だし、実際に最近姿を見なくなった産地もあります。
生息状況の変化をちょっと注意しておいた方がよい蝶かもしれません。
何(十)年振りかに展翅してみて、今まで勝手に持っていたイメージよりもずっと「黒い」蝶であることに気づきました。
胴体の黒さも相当なものです。じっくり接してみるとなかなか魅力的な蝶です。
今まで見向きもしなかった蝶でしたが、今回の探索を通してコジャノメが好きになれたのは大収穫でした。


クマイチゴ(?)の花が蝶を呼ぶ

アオバセセリとオナガアゲハの饗宴

5月中旬の和束、新緑が美しく気候も良く、気持ちのいい探索ができますが、蝶の姿が少ないのが難点。
ほとんど蝶が飛んでいないと言ってもいいくらいです。大物狙いで入った谷間では高速でミドリセンチコガネが飛び回るだけ。


ミドリセンチコガネはかなり多い。トラップをかければどっさり集まりそう。(和束町)

別の谷間に移動してみてもやはり蝶影はほとんどなし。ところが帰ろうと思っていた時、凄い場所に出くわしました。
狭い一角に妙にオナガアゲハが集まっているのです。


クマイチゴ(多分)の群落。ここにだけやたらと昆虫が集まっている。(和束町)

動画も貼っておきます。どう見ても蝶が集まりそうもない感じは伝わると思います。(水の流れる音が騒々しいです。)

よく見るとクマイチゴと思われる群落の周辺を10頭以上のオナガアゲハがゆったりと舞っています。
クマイチゴの花が好きらしく盛んに吸蜜しています。一度にこんなに多くのオナガアゲハを見たのは初めてです。
残念ながら道路から距離があり、地形的に群落に近づけないので採集は容易ではありません。
飛んでいるのはほとんど雄でしたが、新鮮な雌も採れて大感激。オナガアゲハの春型の雌は大好きな蝶です。


オナガアゲハの雌。これだけ新鮮だと大満足。(和束町)

さらにこの群落をよく見ると、アオバセセリが沢山集まっていました。びっくりするくらいの個体数です。
常に10頭くらいが訪花していて、これだけ多いとお互いに接近することがあるため、
いわゆる「二コ舞い」の状態で道路上に上がってきて、一度に2頭採れたりもします。
山城地域ではあまり出会わない蝶ですが、いるところにはいるものです。


クマイチゴの宴会場以外の場所にいたアオバセセリ。(和束町)

それにしてもクマイチゴは凄いです。花は目立ちませんがよほど蜜が美味しいのでしょうか?


4月は忙しすぎて探索にも行けず

5月の連休にようやく・・・

5月に入って、今シーズン初めて山城のあちこちに行ってみました。
5月のGWは山城では特にこれと言う目標がなく張り合いがありません。
早くもクロヒカゲが羽化を始めていました。クロヒカゲってこんなに早かったかな。


クロヒカゲは羽化した直後で羽の柔らかい個体もいた。(和束町)

宇治田原町に行ってみると水田の多くが丁寧に電気柵で囲まれていました。
これがあると探索にも何かと不自由で困ったものです。


国道のバイパス工事の大きな看板。蝶への影響が多少ありそう。(宇治田原町)

ところで上の画像、クロヒカゲはデジ一で、看板はiPhoneで撮影したものです。
iPhoneでの蝶のマクロ撮影を試してみました。iPhoneにはマクロモードのようなものがなく、
蝶を撮影するときも普通に寄って普通にシャッターを切るだけです。


iPhoneで撮影したヒメウラナミジャノメ。ピントが甘いのはiPhoneの責任ではなさそう。(精華町)


デジ一で撮影したツマキチョウ。比べてみるとiPhoneは少し青味がかるようだ。(精華町)


飼育で気を紛らわす

フジミドリに注力・・・

ようやく春を感じるようになりました。ギフチョウも飛び始めたようです。
しかし、全力傾注の仕事の余韻いまださめやらず、探索気分には程遠い感じです。

室内に置いているブナの苗が芽吹き始めたので、フジミドリの卵を冷蔵庫から出しました。
孵化率は約7割。苗の新芽に直接放っていくずぼらな方法でスタート。


ブナは萌芽から葉の伸展に至るペースが速い。

孵化幼虫の喰いつきは極めて良いので何と言うことはない気楽な飼育です。
・・・が困ったことも生じました。
・1齢幼虫は意外に移動するようで行方不明になるものが出てきた。
・幼虫の潜入した新芽は伸展せずに枯れてしまうことが多く、余計に幼虫が移動しやすくなる。
・鱗片は脱落しやすく、鱗片に止まっていた幼虫が一緒に脱落してしまう危険がある。
このようなことから幼虫の個体数が目減りし始めたので、やむなく容器内での飼育に移行しました。
これで個体数が維持できそうです。


現在どの幼虫も2齢。幼虫は色彩・形状共に鱗片と紛らわしく擬態効果を感じさせられる。


やはりウラゴマだった

しかも生きているかも・・・

先日、宇治田原町で見つけたウラゴマダラシジミの卵らしきもの・・・
ウラゴマにしては余りにも白すぎたことと、頂芽からの1卵塊しかみつからなかったこと、
視力の関係ではっきりウラゴマ卵と確認できていたわけではなかったこと・・・
などの理由でもしかして似て非なるゴミか何かだったのではという疑念が残っていました。
確認のため撮影してみたのが次の画像です。


白く褪色してしまっているウラゴマダラシジミの卵。(宇治田原町)

間違いなくウラゴマの卵でした。こんな位置についているなんて。
数は6個のようです。しかも外観的には生きている可能性が高そうです。


この冬は寒かった

そろそろ春の準備も・・・

この冬は前半はからからに乾燥した寒い冬、後半は雪も降り始めてさらに寒い冬。
1月下旬から2月中旬は野山に出る気も失せてしまうくらいでした。

下の動画は、京田辺市でオオムラサキを探索したときのものです。
動画を貼るのは初めてですが、静止画像だけではつまらないのでちょっと試してみました。
幼虫のついている落葉を裏返して幼虫が見えるようにしてから撮影したものです。
iPhoneで適当に撮ったものなので酷い内容です。

2月になってからは、いつもと目先を変えて宇治川あたりで良いエノキを探している時に、大き目のイボタを見つけました。
枝先を見ると白っぽく色褪せたウラゴマダラシジミの卵がいくつかついていました。
こんな枝先についているくらいなら、太い枝や幹にはさぞかし、と期待してしまいましたが・・・
見事に追加は0でがっくり。見つけた数卵も生きているのか怪しいし、何かすっきりしない結果に終わりました。


ウラゴマダラシジミの卵がついていたイボタ。周囲が開けていて明るく、木に元気がありすぎる。(宇治田原町)

ウラゴマは暖冬ならそろそろ孵化の時期かもしれませんが、このイボタはまだ芽吹いていませんでした。
孵化といえば、11月に採卵したフジミドリの孵化に備えてブナの苗を準備しました。
ブナでなくても飼育できるのかもしれませんが、せっかくのフジなのでブナを食べさせてあげようと思います。


フジミドリ用のブナの苗。


八幡市のオオムラサキを探る

いるのか、いないのか・・・?

今まで八幡市の石清水八幡宮付近に蝶を探しに行こうという発想はまったくありませんでした。
低地の中に取り残されたような冬でも緑色の小さな丘、目ぼしい蝶がいるとは思えません。
ミヤマカラスアゲハがいるようですが、だからと言ってわざわざ行っても仕方ないし・・・
という感じで、八幡市は拙サイトの守備範囲でありながら完全に放置していました。

しかし、この冬の各地でのオオムラサキの豊産を目の当たりにすると、
念のため八幡市も調べておこうかという気になってきました。

現在八幡市にオオムラサキが生息しているかどうかはともかくとして、過去においてはどうだったのでしょうか。
「山城の蝶昔話 第1話」で紹介した「昆虫採集地案内−近畿地方−(1956)」の
「淀川方面」の項目の中に次のような記述があります。

「・・・なお京阪沿線の石清水八幡宮はモンキアゲハ・オオムラサキの採集地であり・・・」

またネットで検索していると、石清水八幡宮の参道近くでオオクワガタを採集したことや、
クヌギの樹液にオオムラサキが集まっていたというような経験談を見つけ出すこともできました。
おそらく1960年代以前(もしかすると1970年代初めまで)にはオオムラサキが生息していたことは確かなようです。

地理的にも、現在オオムラサキが生息する京都西山と甘南備丘陵に挟まれた位置にあり距離も近いので
男山周辺が宅地開発される以前には山林がつながっていて、オオムラサキの分布も連続していたのでしょう。

現在の状況については、同じくネットで八幡の自然観察マップのようなものを見つけましたが、
蝶ではキチョウやアオスジアゲハが載っているくらいで、オオムラサキのことには何も触れられていません。

石清水八幡宮は訪れる人が多く、範囲も限られているので、もしオオムラサキが生息するのなら
必ず誰かの目に留まり、産地として有名になっているはずですが、そのような話は聞いたことがありません。

結論として・・・普通に考えて「過去には確かに生息したが現在はいない」と考えるべきでなのでしょう。

それでも一度も行ったことのない場所のことをあれこれ言っていてもまさに机上の空論です。
とにかく一度行ってみる必要があります。行くならオオムラサキが豊産する今が絶好のチャンスです。
地図を見ると石清水八幡宮を中心に散策コースがあり、これらを辿れば実態がはっきりしそうです。

・・・というわけで実際に真冬に訪れた印象です。
遠くから景色として眺めていた限りでは照葉樹の森というイメージでしたが、
実際に訪れてみるとかなり竹林が幅を利かせていました。クヌギやコナラの大きな木もそれなりに残っています。


ミクロ的な環境は意外に良好。(八幡市)

何より驚いたのが、谷を中心にエノキの大木がかなりあったことでした。
谷も急峻で、これなら確かに昔「オオムラサキの採集地」であったとしても何も不思議ではありません。
もしこの環境が木津川市辺りに存在していたら、さぞかし素晴らしい産地になっているだろうと思えます。


何十頭もの幼虫が見つかりそうなエノキがあちこちにある。(八幡市)

しかし・・・・・・
残念ながらオオムラサキを見つけることはできませんでした。
ゴマダラチョウでさえも非常に少なかったのが不思議です。見つけたのは僅か2頭です。
これでもかと良いエノキがあり、ミクロ的にはかなり良いように見える環境なのに・・・。

もちろん今回の調査結果だけで生息していないと断じることはできません。
探したのが雨上がりだったため、落葉がびしょびしょに濡れて貼り付いていて探す条件が悪かったこともあります。
しかし、今シーズンの山城地域全体でのオオムラサキの良好な状況や
雑木林の広がりに欠ける環境的狭小性、訪れる人が多い割には噂にもならない点を考えると、
一応の結論は出たように思い、気持ち的にすっきりすることができました。


この冬もオオムラサキは豊産

中間的まとめ

この冬の1月中旬現在のオオムラサキの状況を整理しておきます。

●城陽市・・・好調だった前の冬よりさらに好調

●井手町・・・前の冬より好調

●京田辺市・・・もともと安定しておりこの冬も同様

●精華町・・・昨年より低調

●木津川市・・・木津川市は広いが探した範囲では好調

●笠置町・・・前の冬より好調

●南山城村・・・なぜか幼虫を探しにくい地域で状況をつかみにくく発見数は少ない

未調査は、和束町・宇治田原町・宇治市・八幡市です。久御山町にはいないはずです。

上記のうち2012年になってから訪れたのは笠置町と南山城村です。

笠置町では一見あまり良いとは思えない次の画像のようなエノキを指標にしています。


根元に草が生えていたりして感じは良くないが・・・。(笠置町)

探してみると次々に幼虫が見つかりました。この木としては過去最高です。
笠置町にはいくつか「谷間+林道」という環境がありますが、車で入りにくかったり、
良さそうな木で幼虫が見つからなかったり、エノキ自体がなかったりで、意外に苦戦を強いられます。


この木は笠置の御神木になりつつある。(笠置町)

笠置町の東隣の南山城村ではオオムラサキが村の天然記念物に指定されているらしいので、
今さらという感じがして探索意欲は湧きませんが、少し調べてみました。
とりあえず名張川沿いを探索してみました。・・・がすぐに見つかりそうでいて簡単には見つかりません。
結局ほとんど川岸と言っていいような位置にある以前から目をつけていたエノキから少数発見しただけでした。
この木は過去に何度か探したことがありますが今まではゴマダラチョウしか見つかったことがありませんでした。


この木は根元が雑然としていて良い印象ではなく、幼虫も少なかった。(南山城村)


オオムラサキ山城全市町村制覇を目指して

遅ればせながら年末の探索より

新年に入ってからの探索結果は後日ということにして、まずは昨年分で未掲載の分を少々。

山城地域西部のオオムラサキ生息域である京田辺市〜精華町の状況です。
精華町ではやっと御神木を確保してホッとしていたのも束の間、
予想外の出来事が起こりダメになってしまい、仕方なく周辺にあるエノキを探すしかなくなりました。


竹薮のエノキは探す気が・・・。(精華町)

ところが良い環境の木がないのです。上の画像のような場所のエノキばかりです。竹薮は好きになれません。
根元の落葉はパリパリに乾燥しており、探し始めた瞬間にダメだと感じてしまうほどです。
・・・それでもいました。こんな乾燥した環境にいることは珍しいです。


冬を越せるのか心配になるほどの乾燥ぶり。(精華町)

京田辺市ではとっておきの場所は今回敢えて見に行かず、ほどほどの木で確認するだけにしました。
落葉はやはりかなり乾燥していました。


この木はポジション的にはまずまず。(京田辺市)

幼虫は少ないながら確認することができました。
京田辺市のオオムラサキは陳腐なイメージが強くてあまり探し甲斐がないので、
どこか一箇所で確認してしまえば十分という気になってしまいます。


期待は裏切らない程度に・・・。(京田辺市)