オオムラサキで来シーズンを占う・・・
今年もエノキの黄葉・落葉は遅く、12月中旬でも緑の葉をつけている木が見られました。
オオムラサキの状況を見ておこうと、井手町方面へ。
最初に見た木が大当たり。根元の落葉はまばらなのに、
どの落葉にもオオムラサキの幼虫がいるという高密度状態。
面積の大きいクズの枯れ葉には10頭近くもついていました。
山城地域での探索では、1本の木での最高記録となりました。
ほとんどの落葉に幼虫がついていた。(井手町)
エノキはほとんど落葉していないが幼虫は大量に降りていた。(井手町)
今シーズンの探索はこれで終わりです。
来年に向けて良い締めくくりになりました。
フジミドリは今シーズンも今ひとつ・・・
飛騨での奮闘を最後に成虫探索は終了。
秋のブナ林。そろそろフジミドリ豊産の年なのでは?と期待しつつ。
しかし、1時間に数卵のペースでしか見つからない。
半日探して何とか二桁、昨シーズンよりはましという程度。
今シーズンはフジミドリの採卵はやめたほうがよさそうです。
初秋のブナ林。ブナの葉はまだ緑葉状態。(京都府)
フジミドリの採卵としては平均的成果か。(京都府)
この結果を受けて、今シーズンはゼフの採卵は終了。
楽しくもほろ苦い旅は続く・・・
夏の飛騨の旅もここまでくると度が過ぎるというべきか・・・。
今年も強力有能なるパートナーに付き合ってもらえて訪れることができました。
梅雨明けぬ中の出発、初日は曇り空。
午後からの探索で日が射すことはなく成果なし。
毎年顔馴染みの採集者の方々と探索後にお話ししました。
要点は、今年は羽化が早い、少ない、この日は誰も見ていない。
初日の宿泊は一般的な採集旅行には贅沢なホテル、チェックイン時にはついに雨が。
そのうち付近の宿泊施設を制覇してしまいそう。(岐阜県)
食事も温泉も豪華で高級指向です。
部屋から笠ヶ岳が望めるポジションなのですが、ずっとガスってて見えません。
夕食は、量は程々ながらさすがに品のあるものでした。(岐阜県)
二日目は悲しいかな一日中雨で山に入れず。昨年もこんな感じだったなあ。
宿泊は3年連続のいつもの宿へ移動。
快適な宿ですが、諸般の事情で翌日の弁当が準備できないとか。
早朝のうちに昼食を買って山には入ることがほぼ不可能なだけに痛い!
飛騨牛など美味しい夕食でいつも食べ過ぎに。(岐阜県)
三日目、ついに梅雨明け!
朝から文句のない好天、あと二日早く梅雨が明けてくれていたらなー!
笠ヶ岳の稜線に残雪は全く見えない。(岐阜県)
空の色は山独特の紺碧で、これぞまさにオオイチ日和。
採集者らしき人たちが次々と山に入っていきます。
しかし・・・結局オオイチモンジはただの1頭も姿を現してくれませんでした。
オオイチモンジとの出会いを見守ってくれるはずの焼岳。(岐阜県)
3年連続で完敗・・・こんなことがあっていいのか???
顔馴染みの面々、新規参入の方々、この好天下で誰も姿を見ていないとか。
今年もひどい不作の模様。それにしても、不作が続くなあ・・・。
他の蝶では、ミスジチョウとエゾミドリなどのゼフは多いように感じました。
ここで、少々分析を。
今年は穂高の高山帯の雪が50年に一度の少なさという異変の年。
この時期には例年アイゼン・ピッケルが必要な白出沢にも雪渓がないとか。
蝶の羽化もかなり前倒しになっていたようです。
オオイチモンジは6月25日頃に現地で雄が確認されています。
ネットであれこれ見ていると、上高地でも7月10日前後で雄は痛んでいたようです。
雄の「良い時期」は7月3日あたりではなかったかと推察します。
となると雌の「良い時期」は7月10日くらいであった可能性が高い。
ここでいう「良い時期」というのは他の蝶と少し意味が違います。
「当日または前日」に「集中的に羽化した個体」が集中的に活動する日、のことです。
天気の関係もあって、このような日は年に1、2日しかないはずです。
そういう意味では、「良い時期」ではなく「良い日」と言うべきか。
しかも毎年「良い日」があるとは限りません。
この時期は梅雨明け前で天候不順な場合が多いので、
天気次第では「良い日」がないまま終わる可能性すらあります。
絶対的に個体数が少ない年や「羽化が集中する日」がない年も同様です。
以上は今までの経験に基づく仮説です。
この仮説によると、今回の敗因は次のどちらかになるでしょう。
(1)「良い日」のタイミングに当たらなかった。
(2)羽化した個体数が異常に少なく「良い日」がなかった。
直近3年間は同じような状況が続いており、敗因は同じと推測されます。
3年間のべ8日間の経験による実感と、
「7月○日は良かったんだけどな」という話すら出てこないことから、
直近3年間に関しては、原因の(2)が有力考えています。
初めての場所で遭遇・・・
今や山城地域で屈指の希少種であろうクロヒカゲモドキ。
いつ姿を消してしまっても不思議ではない存在です。
今回はもしやと思って訪れた場所。車を停めて、付近の藪を叩いてみると・・・。
出た!
出会うと必ず心躍る蝶の一つ。(宇治田原町)
確実な生息地にも行ってみると、こちらにも少ないながらいました。
今シーズンは明らか見る機会が少なかったミドリセンチコガネと出くわしたり、
宇治田原町では二カ所目となるオカトラノオに驚いたり、
それなりの出会いがあった一日でした。
今年はミドリセンチが異例に少ないようだ。(宇治田原町)
山城地域ではオカトラノオは非常に少ない。(宇治田原町)
高原にも蝶がいない・・・
少し早いかなと思いながらも中国地方の高原へ。
ミドリヒョウモンの黒い雌が目的なのですが、
そもそも蝶がほとんどいない!
風が強かったことが災いしたかもしれませんが、余りに酷い。
ある程度いたのはヒメシジミくらいで、
ミドリヒョウモンは1頭も確認できませんでした。
ヒメシジミだけは至る所で見られた。(中国山地)
ウラギンヒョウモンすら少なく、まとまった数が見られたのは一カ所だけ!
ここでは新鮮な雌がアザミに集まっていました。
帰途、かつてのオオウラギンヒョウモンの生息地を見に行きました。
そこはまさにオオウラギンの生息地の風景の素晴らしい場所でしたが、
ここでもほとんど蝶は飛んでいませんでした。
ヒメジョオンに屈す・・・
今年はクリの花期がやや早く、花が蝶で賑わう光景を見ずに終わるのか・・・
花穂が茶色くなったクリばかりが目につく中、
何とか咲き残っている木を見つけて未練がましく凝視していると、
数頭のメスグロ♂に混じって、メスグロ♀が吸蜜している!
長竿を振るワンチャンスはあったものの、お約束の失敗。
このクリは素晴らしく、メスグロ♀3頭が集まっていました。
これならばオカトラノオは期待できるな・・・
山城地域にはオカトラノオが少なく、自生地を2カ所しか知りません。
そのうち宇治田原町の「A斜面」は、ススキなどの間に目立たず生えていました。
草をかき分けて覗き込むと、オオウラギンスジヒョウモンが点々と吸蜜しており、
その吸引力に驚嘆したものでした。
この小さな斜面は、他の植物の勢力が増して、オカトラノオは消滅したようです。
最近頻繁に訪れている京田辺市の「B丘」は、
さらにX、Y、Zの3群落に分かれ、吸引力はX>Y>Zの順になります。
X・・・メスグロ♂がほぼ100%来ており、メスグロ♀やオオウラギンスジ、ミドリもよく来る。
Y・・・メスグロ♂が70%来ており、雌も期待できる。
Z・・・メスグロ♂は40%、雌の実績あり。
ところが、今シーズンは、まずYが不調で全くダメ。
期待のXもわずかな雄が来ただけ。
反面Zが相対的に良く、メスグロの雄3頭が集まっていました。
6月初旬、「Z」で咲き始めのオカトラノオ。セイタカアワダチソウに負けそう。(京田辺市)
ヒョウモン類不作でもそれなりにはいるようで少し安心しました。
でも、雌が来ない。時期は問題ないはずなのに。
その時、20m離れた農道脇のヒメジョオンに何かが舞い降りた気配が。
この時期ヒメジョオンはたくさん咲いていますが、吸引力は弱い。トンボかな。
念のため確認しに行くと、メスグロ♀がぶら下がるように吸蜜していました。
ヒメジョオンには意外とやって来ないメスグロヒョウモン♀。(京田辺市)
この日は雌の Best Day だったと思われますが、
オカトラノオにはついに雌が訪れることはなく、
クリには惨敗、ヒメジョオンにも敗れたのでした。
ヒョウモン大不作の一大事・・・
6月11日・12日の土日の時点で、今年のウツギの花はほぼ終わり。
クモガタヒョウモンはすでに活動していない模様。
クリの花も終わりつつあり、代わって主役はオカトラノオの花に。
ところが今年は様子がおかしい。
ウツギにもクリにも、さらには強力なオカトラノオにさえ、
ヒョウモン類の姿がほとんどないのです。
場所によっては群れていてもおかしくないメスグロヒョウモンもほとんど姿なし。
ここ数年の賑わいが嘘のように静まりかえっています。
まずいなー、またあのヒョウモンのいない時代が戻って来るのかな。
タイミングがうまく合わず苦戦続き・・・
ウツギの季節がやって来ました。
宇治田原のクモガタヒョウモンの生息地には、
「ウツギの小径」「ウツギの藪」「ウツギの花園」の3つの要所があります。
ウツギの花園。今年はここが一番良さそう。(宇治田原町)
今年はウツギの花園が一番蝶を集めそうな雰囲気を醸し出していました。
しばらく待っていると、来ました。雄でした。
かろうじて見つけたクモガタヒョウモン♂。(宇治田原町)
この日は、この後曇ってしまって、和束町にも行ってみましたが、
ヒョウモン類の姿を見ることはありませんでした。
今年はテングチョウ、ヒオドシチョウ、イチモンジチョウも少ないです。
蝶はきまぐれ・・・
先日見つけたミヤマカラスアゲハの吸水・吸蜜場所を再訪。
ツツジの花のそばで待っていると時々オナガアゲハ♂がやって来ました。
全体的に花が少なく、この場所で待つしか術がない。(相楽郡和束町)
しかし、ミヤマカラスはさっぱり来ないので、諦めようかと思っていると・・・。
突然2頭同時に現れました。1頭確保してみると幸運にも雌!
あれ?!カラスアゲハかな?後翅裏面の帯がほとんど出ていないし、表面も地味。
しかし、赤色斑はよく発達しているし、なかなか味わい深い個体。
一瞬カラスアゲハに見えてしまうミヤマカラスアゲハ♀。(相楽郡和束町)
その後は、嘘のようにミヤマカラスは飛んで来なくなってしまいました。
先ほどの飛来は何だったのかと、蝶の気まぐれさを痛感しました。
幼虫採集は気が乗らないが・・・
青空が広がったGWのある日、強風が続いて蝶はさっぱり。
和束町、南山城村、宇治田原町、・・・と回っても何の成果もなく、
諦めて木津川市でイシガケチョウの幼虫を探しました。
イシガケチョウの終齢幼虫、食樹はイヌビワ。(木津川市)
2齢から終齢まで約10頭の幼虫が見つかりました。
イシガケチョウの幼虫は成長が早く、あっという間に蛹になります。
飼育が楽でいいのですが、もっと大きく育って、大きな成虫になって欲しいな。
60年に一度の珍事?
和束町の山中にはシカが多いですが、その割に林床の笹は他所に比べて残されています。
今回、60年に一度しか開花せず、開花すれば一斉に枯れてしまうと言われている笹が花をつけていました。
いわゆる鹿害を免れていた笹も、森から消えてしまうのでしょうか?
また、笹の花が咲くと大地震が来るとか、天変地異が起こるとか言われていますが・・・。
今後の推移を見守りましょう。
笹が花をつけるのを見るのは初めてだと思う。(相楽郡和束町)
消えたミドリセンチコガネ
ミヤマカラスアゲハの新天地を求め和束町へ。
林道に入ってみると、ツツジの花が全く咲いていない!
蝶影が薄く、活気に乏しい感じ。こうなると苦戦必至。
この時期には羽音を立てて飛び回っているミドリセンチコガネの姿もなし。
河床の砂地に目をこらすと、ようやく吸水中のミヤマカラスを発見。
砂地にはシカやイノシシの足跡が無数に残されている。(相楽郡和束町)
砂地にベタッと静止されると遠方からでは見つけにくい。
近寄るとフワフワと舞い眩い幻光を放つ。
ミヤマカラスアゲハ、新鮮な♂。(相楽郡和束町)
結局、この林道で見られたアゲハ類はミヤマカラスアゲハだけでした。
消えたクロカタビロオサ
ミヤマカラスアゲハの様子を見に、ここ数年恒例の場所へ。
天気など条件は良かったもののミヤマカラスアゲハは1時間に1回くらい来るだけで少ない!
他の蝶では、キアゲハはボロボロ、モンキアゲハは出始めという状態でした。
昨年は桜を中心に毛虫が多く、そのためか京都では稀種と言われていた
クロカタビロオサムシが沢山活動していましたが、今年は影も形もなし!
今年は毛虫がほとんどいなかったので仕方がないのかも。
昼過ぎにOさん父娘が来られて、少しお話ししてから山を下りました。