京都府改訂版レッドリスト2013について


(2013年8月31日更新)

京都府改訂版レッドリスト2013が公表されました。
蝶という偏狭な視点からではありますが、リストを眺めながら気づいたことを書いてみます。

「絶滅種」。
ベッコウトンボなどが昇格してきましたが、蝶類では昇格した種はありませんでした。
現実的に今後オオウラギンヒョウモンなどが再発見されることは夢のまた夢ですが、
これを性急に「絶滅種」にしなかったことはリストアップにあたっての
慎重な姿勢が窺えて大いに結構なことだと思います。

「絶滅寸前種」も蝶類に関しては異動なしでした。
ベニモンカラスシジミの存在はどうしても気持ち悪いですが、
これも簡単には削除すべきではないのかもしれません。

「絶滅危惧種」は、蝶類以外では「イトアメンボ」が新規に掲載されました。
各地で減少しているらしいので京都府で「絶滅危惧種」でも不思議ではないですが、
「ヒメイトアメンボ」という区別が紛らわしい近似種がいるので、
案外いるところにはいるかもなあと思ったりしています。
毎年オオアメンボを採りに行きますが、
イトアメンボ類がついでに網に入っていることはよくあります。
これからはどちらの種なのかよく見てみることにします。
もう一つ「ミズスマシ」が昇格してきました。あれ?っという感じです。
最近でも山城地域の池でミズスマシ採集をしたからです。
あれは別の種類だったのかなあ?確認しに行く必要がありそうです。
蝶類ではウラギンスジヒョウモンが新規に登場。
いきなり「絶滅寸前種」でもよい状態です。
昇格はツマグロキチョウとギフチョウ。ツマグロキチョウは妥当な感じです。
ギフチョウは京都市周辺部の状況に引きずられ過ぎたようです。
ちょっとランクが高すぎるかなあという感想です。
ギンイチモンジセセリは「要注目種」あたりが現実的です。

「準絶滅危惧種」には驚きの種が新規で登場しています。
ヒメキマダラヒカゲです。
最近夏に北山あたりに出かけていないので実感がありませんでしたが、
シカの増加による下草消滅の影響ということなのでしょう。
また、このカテゴリーの蝶にはキマダラルリツバメやウラナミアカシジミなど
「要注目種」に降格させた方がよいと思えるものがあります。
蝶以外では「オオムツボシタマムシ」の降格が目につきました。
出会うと嬉しいタマムシであることは確かですが、
最近あちこちで見られるようになっているようです。

リストアップされていない蝶では、シータテハ、ヘリグロチャバネセセリ、ミヤマチャバネセセリ
の3種は「絶滅危惧種」級の状況にあり、追加する必要があります。