【報恩】

誰しも人間、一人では生きてはいけない。「誰の世話にもなりたくない。」と言い張っても、
どこかで、誰かに依存しているものである。 オギャーと生まれ出て、自ら育った訳ではない
し、大きく成長して自立したと言えども、金を払ってでも誰かに世話にならざるを得ない。
それに一々お礼を言う訳でもないが、折に触れ感謝の気持ちを持ちたいものである。

我々は「四恩」を学んだ。先ず「父母の恩」、そして「師への恩」「主の恩」「国土の恩」である。
夫々を説明するまでもないが、どんなに偉そうなことを言っても、先ずは父母への恩恵には
どうしようもない。順送りとは言っても、やはり恩を感じ、恩に報いるべきだと思う。

次の師への恩では、学校の先生から色んな習い事での師匠など、沢山の知識や人生への教養
などを教わった。そして主の恩は、職場やその他、仕えてきた人々への恩である。国の恩と
は、現在では、主権在民であるとは言えども、自然から受ける恩恵から、国土・地域などが
これに当たると思う。

これに反して、忘恩は人間として最も恥ずべきものである。
過去に受けた恩を忘れ、まして恩を仇で返すような輩は、人間失格である。

受けた恩に対して、どのように報いるかを常に心に刻み、報恩の誠を尽くすかに依って、そ
の人の人格が昴められ、人々から信頼を勝ち得ていけるものではないだろうか。逆に恩を忘
れ、まして反逆するような者は、慢心・傲慢の生命から、必ず自らを滅ぼしていく。

昔から、プラトンに対するソクラテス。松田松陰に対する高杉晋作など。枚挙に暇がないが、
直接的に、恩を受けた人に報じることが出来なくても、「従藍爾青」の諺の如く、生涯に亘
って、父母を、師を宣揚していくことが、最高の報恩になると思い、一生懸命に努力してい
くべきだと思う。