【漫画家・手塚 治】

昨夜テレビで、彼の漫画を通してのメッセージを観た。六十歳にガンで亡くなるまでの壮絶な
執筆活動。そして「訴え続けてきたこと」。

それは「いのちとは何か」そして「いのちの大切さ」であった、と。戦時中に、おびただしい
人数の死者の山、そして、若い頃の研修医時代に立会った人の臨終のとき。真摯に人の死を目
の当たりにして、いのちの大切さを思い、受け止めていった。
そして悩み思索し漫画で訴えていった。時に、全国で有害図書としてパッシングを受け、燃や
されたりしたが、鉄腕アトムのアニメから見直され、晩年には、いのちを振り絞ってガンに侵
された身体で、各地の学校で子供たちに「いのちの大切さ」を訴え続けていった。

宇宙はすべて生命に満ちあふれている。いのちは永遠なものだ。いのちを大切にして生きろ、
と漫画をとおし訴え続けた手塚 治。
それに比べ、ザバーと血が飛び散る殺傷シーンを描く漫画のブームと戦いながら、また、手塚
のマンガは終った
と非難されながら、子供たちに「火の鳥」や「ブラックジャック」などで、
訴え続けた手塚。

子供時代に、手塚の漫画を愛読した医者が、「医者として手術する時、今もこれは生命に対す
る冒涜ではないか。永遠の課題に悩みながらメスを握っている。」と紹介されていた。
手塚の思いが、きっちりと受け継がれていると思った。

しかし現状では、テレビやマンガで、儲かるから、ウケがいいからとかで、殺戮シーンが飛び
交い、いのちを冒涜する情報がまん延してる。それに反対する世の勢力は、あまりにも弱小で
ある。

でも手塚さんよ。ガンと戦いながらのあなたの思いや訴えは、決して無駄ではない。幼い頃に
兄弟で取り合いして読んだ手塚のマンガは、今は孫が受け継いで、「大きくなったらブラック
ジャックになる。」と言っている。

まだまだ世間は知らないし、まだ「いのち」の思想・哲学を非難し、活動までを嘲笑しているが、
我々一千万人を超える日本及び世界の同志が、同じ思いで訴え続けている。


理由はともかく、あなたも同じ同志として戦った「思い」は決して無駄にはしない。