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星なき世界

著者:ゴードン・エクランド
原題:The Starless World
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

エンタープライズは、何十年も前に行方不明になった連絡艇を発見する。それにはカークの元知り合いであるトーマス・クレイトンが乗っていたが、彼は狂人となっていた。彼が言うには、自分は神アイ・ナブの仔なのだと言う。その頃、巨大なダイソン球体と遭遇したエンタープライズは、謎の力にコントロールを支配され、球体の中へと導かれてゆく…。

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注意! 感想にはネタバレが含まれます



カークと原住民オーラの交流が面白い。手堅い出来の作品で、退屈することなく十分楽しめる。
些細なことだが、作中でカークらが神(アイ・ナブ)という存在をやたらと否定しているのが気にかかる。スポックに至っては最後の最後までアイ・ナブを受け入れられない。だがしかし、オーガニアだの何だのと神的な力を持った不思議な存在をあれだけ見てきたのだから(まあ、この話がそれらより前の話だと考えられなくもないが…)、単に極度に発達した恒星生命体と考えればいいだけの話ではないのか? なぜ、すごい存在=ゆえに神以外ありえない=でもそんなこと認められない という短絡的な思考しかできないのか、非常に疑問である。


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新たなる航海

編者:サンドラ・マーシャク&マーナ・カルブレス
原題:The New Voyages 1
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

ファンジンの中から出来のいいのを集めた短編集。ジーン・ロッデンベリーによる前書きの他、それぞれの冒頭にレギュラー俳優(ケーニッグはなぜか無し)&メイジェル・バレットによる短文が付属。

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「ニ・ヴァー」 クレア・ガブリエル著

二人のカークをスポックに置き換えたような話。しかし特に大きなトラブルに発展するわけでもないので、読んでて眠くなる退屈な話。ショックを受けるのは分かるが、なぜ二人のスポックが元通りになる作業をなかなか始めずにくよくよ悩んでいるのかサッパリ分からない。

「交差点」 ジャニタ・コウルソン著

しいて言えばVOYの空間変動波に近い話。普通の出来で、特に言うこともない。

「魔法の池」 マーシア・エリクソン著

妖精がスポックを誘惑するという変わった話。オイオイ、と思うかも知れないがちゃんと夢オチの類ではない、納得のいくオチがあるので大丈夫。シュールさがなかなか面白い一品である。

「不思議な世界へ、ふたたび」 ルース・バーマン著

ギャラクシークエストみたいな話。感情だしまくりのスポック(実はニモイ本人)が面白い。

「酒場の戦友」 エレノア・アーナスン&ルース・バーマン著

上陸休暇中のカークがトラブルに巻き込まれる話。お茶目なカークが多少笑えるが、全体的には凡庸。

「狩り」 ドリス・ビーテム著

ヴァルカンの儀式によって野獣化したスポックと、獲物として標的にされたマッコイの話。出来は普通。

「羽をつけた夢売りたち」 ジェニファー・ガトリッジ著

劣化惑星ソラリス。オリジナリティ皆無。最低最悪。

「精神探査機」 シャーリー・S・メイユスキー著

近代の精神病院に入れられたカークの話。看護婦との交流、スポックの友情…実に面白い一品。

「十四行詩(ソネット)」 シャーリー・ミーチ著

詩です。


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続・新たなる航海 1

編者:サンドラ・マーシャク&マーナ・カルブレス
原題:The New Voyages 2
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

ファンジンの中から出来のいいのを集めた短編集その2・上巻。

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「びっくりパーティー」 ニッシェル・ニコルス&サンドラ・マーシャク&マーナ・カルブレス著

カークの誕生日をサプライズパーティーで祝おうとする過程で起きる、ドタバタコメディ。そこそこ笑えるが、序文でネタバレするのはやめていただきたい。

「蛇の穴」 コニー・ファディス著

世にも珍しいチャペル主役話というだけの、凡庸な話。

「忍耐づよい寄生者」 ラッセル・ベイツ著

著者はTASの「宇宙の神ククルカン」の脚本家。TASの没エピソードで、脚本スタイルのまま収録。話自体はくそつまらん出来。

「迷路の中で」 ジェニファー・ガトリッジ著

ゴキブリ生命体がエンタープライズ乗員を下等生物と思い込んで実験動物扱いするが、カーク達が知性を持つことに気づいてゴメーンネ、という話。ごくごく普通の作品。


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続・新たなる航海 2

編者:サンドラ・マーシャク&マーナ・カルブレス
原題:The New Voyages 2
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

ファンジンの中から出来のいいのを集めた短編集その2・下巻。

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注意! 感想にはネタバレが含まれます



「限界存在」 コニー・ファディス著

VOYの悪夢の世界の、悪夢パートを除外したような話。何ら興味深い描写のない駄作。

「落盤」 ジェイン・ペイトン著

二人の会話のみで構成された作品。一方はスポックと分かるが、もう一方は誰なのか判然とせず、その回答は読者に託されている。相手が誰なのか色々と考えてみるのが楽しい、実験的な一作。

「プロクルステスの罠」 サンドラ・マーシャク&マーナ・カルブレス著

カークらが性転換してしまうという話。そう聞くとコメディ調のようにも思うが、案外シリアスに性転換後の苦悩描かれている。
余談だが、Y染色体異常の例えの看護婦殺しとはおそらく、リチャード・スペックのことだろう。

「眠れる神」 イェスコ・フォン・プットカマー著

何やら異質な作品。「睡眠者シンガ」って何だかなあ…。結局はつまらない超能力バトルに終わってしまう駄作なので、異質云々以前の問題。

「チャーリイへの悲歌(エレジー)」 アントニア・ヴァラリオ著

チャーリイと言ってもスコッティのことではなく、「セイサス星から来た少年」のピーターのことである。そのピーターを題材にした詩。

「独白」 マーガリート・B・トンプソン著

これも詩。スラッシュっぽくて気持ち悪い。


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過去から来た息子

編者:アン・C・クリスピン
原題:Yesterday's Son : Star Trek
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

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惑星サルペイドンの古代の壁画に、ヴァルカン人らしき顔が刻まれていた。スポックはこれをザラベスと自分の間に出来た息子であると考え、永遠の守護者を使い過去へと向かう!

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注意! 感想にはネタバレが含まれます



TVエピソードの「タイムマシンの危機」をベースとして、「危険な過去への旅」のエッセンスを加えた作品。
スポックに息子がいた! という衝撃的な内容だが、こういったIFストーリーは非正史の小説だからこそ出来る代物と言えなくも無い。そういう意味では、当たり障りの無い凡庸な作品とは一線を画す、チャレンジ精神に溢れた良作といえるだろう。まあ、そういう意味でなくても良作ですが。
ところどころ、もう少し詳しく描写されても良さそうな部分がサラッと流されるところがあるが、ねちっこく描写されるよりは読みやすくていいかも知れない。


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ロムランの罠

著者:M・S・マードック
原題:Web of the Romulans
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

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ロミュランでは国家の存亡にかかわる緊急事態が発生していた。その事態を打開するため、ス・タロン艦長は生きて帰る可能性の低い密命を帯び、連邦宙域に侵入。事態の調査に向かったエンタープライズと対峙することになる。一方エンタープライズでは、女性の偽人格を得たコンピューターがおかしくなりはじめていた…。

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ロミュラン版ST6といった感じの作品。この話は「宇宙暦元年7・21」のしばらく後に起こったという設定で、変になったコンピューターというのもそのエピソードからのものである。作品としては、コンピューターに悩まされるカーク、上司からも部下からも疎まれるス・タロンと彼に忠実な女性の副官、戦争を起こしたがる提督…といったことが平行して描かれ、この先の展開はどうなるのだろうか、とワクワクして読める良作である。


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ヴァルカン

著者:キャスリーン・スカイ
原題:Vulcan!
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

連邦―ロミュランの境界線の変化により、しばらくすればロミュラン側の領土になってしまう惑星アラクネ。そのアラクネに棲む生物が知的生命体かどうかということを調査するため、エンタープライズは生物学者のカタリア・トレメインを乗せて発進する。だが、そのトレメイン博士は大のヴァルカン嫌いだったのだ!

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これほどあからさまに嫌悪感を表に出す展開はSTものにはあまり無く、そういう意味では新鮮な感じで読める一品。スポックとトレメインが惑星で二人きりになってからはSF映画の第五惑星っぽく話が展開し、最後には(なぜヴァルカン嫌いなのかということに対する)納得のオチがつく。
脇役のロミュラン艦長と息子がなかなか面白そうな感じだったが、あまり出番がなく残念。もう少し話を膨らませられそうに思ったのだが…。

冒頭に、「新種クアドトリティケール」の脚本家であるデイヴィッド・ジェロルドによる著者紹介がある。
また、著者は「狂気の世界への旅」のスティーヴン・ゴールディンとは夫婦だそうだ。


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閉鎖世界チャタリア

著者:ジョー・ホールドマン
原題:World Without End
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

エンタープライズは、人工の移動惑星を発見した。移動惑星はこのまま進めばエネルギー補給のできない所に行ってしまう。その危険を知らせるため、惑星の空洞になっている内部の生活空間へと転送降下した。だが、カークらは惑星の住民に捕らえられてしまい、転送も外からの一方通行しか不可能という窮地に陥ってしまう。

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やたらと数字の羅列を用意してハードSFぶってるのが鼻につく作品だ。チャタリア内でのカーク一行の珍道中はまあそこそこ面白い。オチがどうもいまひとつ(脳のないチャタリア人が、会話なんてできるのか?)。全体としてはまあ、ふつうの作品。

ところで、訳者あとがきにはこの著者の弟が「惑星ペリーの謎」のジャック・C・ホールドマン2世と書かれており、逆にペリーではジャックが兄と書かれている。どっちやねん。


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狂気の世界への旅

著者:スティーヴン・ゴールディン
原題:Trek to a Madworld
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

エンタープライズに、著名な探検家であるコスタス・スパイルーキスが乗船する。だが彼は、病に侵されていた。原因を調べたところ、植民星イプシロン・デルタ4の特殊な環境のためと判明する。早速、カークらは植民した人々の救出に出発する。
だがその途中、エンタープライズは謎の空間に吸い込まれてしまう。そこには奇怪な世界が広がってた…。

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冒頭に、「新種クアドトリティケール」の脚本家であるデイヴィッド・ジェロルドによる著者紹介があるが、下らん駄文を読ませるなという感じである。著者のクレイジーぶりを強調しているのが鼻につくだけで、はっきりいって不要。

作品としては、ご都合主義の安直な展開に辟易。狂気の世界とやらも、いかにも人の想像するような典型例にとどまり、全然大したことはない。これより狂気の世界っぽいものが出てくるST小説なんて、いくらでもある。
作品中に言葉遊びが多々出てくるのだが、その度に注釈で解説されても正直興ざめである。そういう意味では、あまり翻訳向きの小説ではないし、質的にもあまりよろしくないこれを翻訳したのは失敗だと思う。

ちなみに、この著者は「ヴァルカン」の著者であるキャスリーン・スカイとは夫婦だそうだ。


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惑星ペリーの謎

著者:ジャック・C・ホールドマン2世
原題:Perry's Planet
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

長期に渡る任務のため、人機ともに疲弊しているエンタープライズの前に、カークを仇とつけ狙うクリンゴン艦長が現れる。さらに間の悪いことに、これまで知られていなかった植民星への外交任務を仰せつかってしまう。だがその植民星、ペリーには謎が…。

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「疲弊したエンプラ」「おかしくなる乗組員」…ワンパターンのヴァーデマン作品にそっくりな要素ばかりである。まあST小説においては、クトゥルー小説における「遠縁の親戚が残した奇怪な洋館」ぐらい定番な設定なのかも知れない。
作品としては、先の読める凡庸な展開の連続。特段興味をひくような面は全くと言っていいほど、無い。

ちなみに、著者のホールドマン2世は、「閉鎖世界チャタリア」などを書いたジョー・ホールドマンの兄。チャタリアでもこの作品でも、クリンゴン艦には神官が同乗している。どうやら、兄弟で共有しているオリジナル設定のようだ。


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ファースト・ミッション 上/下

著者:ヴォンダ・N・マッキンタイア
原題:Star Trek Enterprise The First Adventure
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

戦闘により乗艦していた船を失ったカークは、29歳の若さでエンタープライズの艦長へと抜擢される。だが若手艦長に不満のスコット、カークを品定めしているスポック、小型艦の任務を希望しているスールー、出自を隠してビクビクと恐れているランドと乗組員の心はバラバラだ。しかも、初任務はサーカス一座を送り届けるというつまらないものだった。
なんだかんだで航海の旅に出るエンタープライズだが、行く先には謎の移動惑星やクリンゴンの女戦士コロニンが待ち構えており、カークは早速艦長としての手腕を証明しなければならない立場に…。

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エンタープライズ艦長としてのカークの初任務という、のっけから興味をそそられる内容。クリストファー・パイク、ゲーリー・ミッチェル、カークの家族、キャロル・マーカスと多彩なゲストも特徴のお祭り的な作品だが、ただそれだけに留まるものではない。カークだけでなく、スールーや他の者たちの心境の変化を事細かに記述しており、読み応えのある群像劇作品として仕上がっている。STファンなら読んで損はない作品。

また、ST5のノヴェライズに登場したスールーの故郷「ガンジツ」がこの作品でも言及されている。


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コロナ

著者:グレッグ・ベア
原題:Star Trek : Corona
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

連邦ニュースサービスの記者であるロウィーナ・メイソンは、地球人しかいない辺鄙な惑星ヤルボに生まれ育ったため、異星人に苦手意識を持っていた。しかし、エンタープライズに新たにとりつけられる、コンピューターによる指揮官の指揮能力判断モニターの取材という仕事を持ち込まれた時、彼女はそれを引き受けることにした。
そんなロウィーナと、モニター担当の士官であるジャン・ヴェブレンを乗せたエンタープライズに早速、任務が舞い込む。音信不通になり、救助活動も打ち切られていたブラックボックス星雲ステーションから十年も経って突然、救助を求める通信が送られてきたのだ。特殊な放射線に冒された冬眠者を救うことができるのはエンタープライズしかいない。
こうしてブラックボックス星雲へと赴いたエンタープライズだったが、ステーションのヴァルカン人科学者たちは何か様子が変で…。

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寡聞にしてよく知らなかったが、著者のグレッグ・ベアはヒューゴー賞&ネビュラ賞を受賞した実力者だそうだ。 この作品でもその実力は遺憾なく発揮されており、SFマインド溢れるストーリー展開には感嘆させらた。
また、モニター装置は自身で自らの限界を認めることができ、よくありがちなコンピューターダメダメ、人間バンザイ的な結論には安易に持っていかない。その担当者ヴェブレンにしても、ロウィーナ、そしてコロナも、それぞれ欠点はあるものの悪人としては描かれていない。この作品には基本的に悪は登場しない。登場する生命体すべてが、善悪に単純に割り切れるような薄っぺらいものではなく、確固たる意志と信念を持った、宇宙に生きる者たちなのである。そういったところも、作品に深みを出す役割の一端を担っているように思う。

最終的においしいところ(コロナとの交流)はロウィーナが持っていくわけだが、「ファースト・ミッション」(上記参照)が良くも悪くもSTファン向けとしての傾向が強いのに対し、これは極端に言えばSTでなくとも、オリジナルSFに書き換え可能な作品といえる。そういった意味ではSTに興味のない人にも勧められる名作といえるだろう。だが勘違いしてはいけないのは、未知の生命体との遭遇と相互理解はSTのテーマの一つであり、この作品も紛れもなくスタートレックテイストに満ちた作品なのである。


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クリンゴンの策略

著者:ロバート・E・ヴァーデマン
原題:Star Trek The Klingon Gambit
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

ヴァルカン科学調査船トゥ・パウの乗組員全員が、突如として謎の死を遂げるという事件が発生した。
上層部はここ最近のクリンゴンの怪しい動きから、クリンゴンが何らかの関与をしているのではないかと判断。 命令により、エンタープライズはトゥ・パウが調査をしていた惑星アルナス2宙域へと赴くこととなった。
早速トゥ・パウを調べるものの死因は皆目分からず、惑星アルナス2に取り残されていたアンドリア人科学者に話を聞いてみても全く要領を得ない。
その一方では、附近でクリンゴン艦が不気味に留まり続けており、一触即発の危機が高まる。
そうこうしている内に、なぜかエンタープライズ内では乗組員たちがいざこざを起こすようになり…。

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話のオチとしては「ああ、どうせ惑星ソラリス系統のアレなんだろ」とすぐ読めてしまうものの、カークとクリンゴン艦長の駆け引きなどはかなり読み応えがある。
ただ、これ単体で読む分には問題ないのだが、同じ作者の『エンタープライズの反乱』(下記参照)を読むと似たり寄ったりの展開に辟易してしまう。

なお、小説だとやたら出てくるドクター・ムベンガがちょっとだけ登場。また、この小説のオリジナルキャラであるヘザー・マッコーネル技術主任は下記作品にも登場する。


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エンタープライズの反乱

著者:ロバート・E・ヴァーデマン
原題:Star Trek Mutiny on the Enterprise
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

宇宙ステーションに戻り、艦のオーバーホール中に乗組員の休暇もとるはずだったエンタープライズ。 ところが、折悪しく緊急任務を割り当てられてしまう。
仲の悪い二つの惑星の和平を成功させなければ、 全面戦争が勃発し、それにつけこんだロミュランが勢力を拡大してしまうという。
和平交渉にあたるザーヴ大使一行を乗せ発進するものの、大使は不快な人柄の上、エンジンの調子も悪い。 そんな悪い状況に拍車をかけるかのように、途中発見した難破船から謎の女性、ローレライを救助したことから艦の雰囲気がおかしくなりはじめる…。

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エンタープライズの乗組員がおかしくなって頼りにならないのでカーク(とスポック)が自力でなんとかする、 という「それって同じ作者の『クリンゴンの策略』(上記参照)とおんなじやん!」と言いたくなる筋書き。
中盤ではさんざんローレライの非暴力平和主義を否定しておいて、結局ローレライ頼みで解決するオチはどないなものかと思う。
生きた惑星に放り出されたカークの奮闘するシーンはまぁまぁ面白かったが、全体としてはいまひとつ。

なお、クリ策に引き続き、機関部技術主任のヘザー・マッコーネルが登場。


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栄光の旅路 上/下

著者:ジーン・M・ディラード
原題:The Lost Years
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

五年間に渡る任務を終え、地球へと帰還したエンタープライズ。カークは艦長職にとどまることを希望していたが、提督への昇進を打診され、すったもんだの末引き受けることになる。また、スポックやマッコイもそれぞれの道を歩みだしていた…。

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TVシリーズとTMPの間のミッシングリンクを埋める、という趣向の小説。ちょうど、ファースト・ミッションと対になる作品といえるだろう。が、肝心の内容はかなりお粗末。展開が非常にのろく、下巻になってやっと話が動き出す。それを助長しているのが、どうでもいいディラードオリジナルの士官達の描写である。しかもこいつら、後々のストーリーにはほぼ絡んでこない。そんな連中を描写するのなら、全くと言っていいほど出番のないスコッティ、スールー、チェコフにページを割くべきではないのか? 著者のオリジナルキャラ尊重ぶりが限りなく、不快。
終盤の描写も、役にも立たないのにノコノコやってきて状況を悪化させるカークとマッコイにイライラさせられる、不快な代物。性格的にはとってもおかしくはない行動ではあるが、貴様らちょっとは状況を把握しろと言いたい。


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時の壁を超えて 上/下

著者:アン・C・クリスピン
原題:Star Trek Time for Yesterday
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

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永遠の守護者が発する時間変動波により、次々と恒星が死滅してゆく。カークらは永遠の守護者と接触を図るが、守護者と完全に接触できるのは5000年前にいるスポックの息子ザールだけであった。

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同作者の「過去から来た息子」の続編。時代的にはTMPとST2の間の話なのだが、カークが息子デイヴィッドの存在をすでに知っていることになっている。
それはさておくとしても、作品としては…つまらないというほどではないし、そこそこ読み応えはあるものの、どうにもいまひとつ。最初の救出話は枚数稼ぎにしか思えないし、過去話はご都合主義全開。それにさらに創始者の話などもあるわけだが、それらがてんでバラバラに点として存在している感じで、全体的な作品としてのまとまり感に著しく欠けている。
一言で言ってしまえば、この作品は蛇足。

どうでもいいが、永遠の守護者はそんなに理知的なら、狂人マッコイの類は使用禁止にしとけと言いたい。


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ヴァルカンの悪霊

著者:ジーン・M・ディラード
原題:Star Trek Demons
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

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スポックの親戚が、惑星ピークマンズの調査を終えてヴァルカン星に帰還した。だが、何か様子がおかしい。スポックの母・アマンダの周囲で奇怪な事件が頻発し、ついにはスポックの父・サレックまでも様子がおかしくなる。一方その頃、エンタープライズはヴァルカン星で上陸休暇をとることになる。しかしその矢先、艦内で残虐な殺人事件が発生する…。

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ディラード作品はST5ノヴェライズ、栄光の旅路と続き、これでもまた変質ヴァルカン登場である(実際にはこれが最も先に出版されのだが)。ひたすらワンパターンな展開に辟易。いいかげんにして欲しい。

なお、栄光の旅路に登場したトムソンはこれにも登場。

さらにまったくの余談。かなり前にSFマガジンにST特集として、(日本で出版された)オリジナル小説を含めた年表が載ったことがある。その年表では「ヴァルカンの悪霊」(以下、悪霊)はTMP以降に分類されていたが、完全に間違い。「悪霊」ではマッコイは初めてゴルを訪れた。そして同著者の「栄光の旅路」(これ自体はTMPより前の話とはっきりしている)ではマッコイは以前ゴルに来たことがある、と描写されている。つまりディラードは自分の前の作品をふまえて書いているわけで、「悪霊」は栄光の旅路よりも以前の話でなければ辻褄が合わない。普通に考えて、五年間の航海の間のことだろう。


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スポックの世界

著者:ダイアン・デュエイン
原題:Spock's World
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

ヴァルカンでは、惑星連邦から脱退すべきという論調が急速に広がりを見せていた。そしてついに討論会と全国民による投票が行われることになり、カークらは証言者として呼ばれることとなった。

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上下巻に分かれてもおかしくない、分厚いこの本。それもそのはず、上記ストーリーと交互に章を形で、ヴァルカンの黎明期から近代までの話が描かれているのだ。ちょっと序盤に冗長な部分があり(自然の描写をしつこくしつこくやるのがそれをさらに助長している)、読み進めるのが辛い部分もあるが、最初さえ乗り切れば後はスイスイと読める。
さて、これは映像には出てこないヴァルカンの文化をさらに深めようという試みの作品である。とは言え、所詮非正史の小説で何書いたって映像の方でヴァルカンのエロマッサージなんてやってしまえばそっちが正史になってしまうわけだ。つまり、小説では設定がどうこうということではなく、内容が面白いか否かということが重要なポイントになってくる。そしてこの作品においては、それはほぼ成功している。ヴァルカン人のバックボーンはもちろん、議論の推移もなかなか面白く書けている。ただ序盤以外の難点を言うと、ヴァルカンの章の宇宙船の章と政略結婚の章はありきたりすぎて面白くない。特に、政略結婚は「時の壁を超えて」と同じで政略結婚のはずが本気になって〜と同じパターンになってしまっているのがさらに悪印象である。その他、マッコイの証言が良すぎて、カークの証言が大分へッポコに見える。あと知性を持ったコンピューターのくだりは唐突感が否めないし、あんまりストーリー的な必然性も感じない。しかしちゃんと作品全体としての統一感があるし、分厚さに比例する読み応えも十分にあるので、作品を楽しめなくなる致命的な欠点ではない。
あとどうでもいいことだが、ちょっと小説ではヴァルカン人の超能力が過大評価されすぎではないだろうか?

この作品には「時の壁を超えて」のホルタ人士官ナラート、ディラード作品のトムソンが登場する。どうやら、他の様々な小説の内容をふまえて書いてあるようだ。また、ヴァルカン人の眼が後にある宇宙連邦軍士官をうんぬら〜という表記があるが、これはTVエピソードの「デネバ星の怪奇生物」のことだろう(なお、ブリッシュの小説版ではまるで違う話になっており、ヴァルカン人の眼については触れられていない)。

ところで、訳者あとがきには分かりにくい人は先に一方の章だけを読み進めればいいなんて書いているが、正直こんなもんもよう理解できんような奴でもちゃんと読める小説なんてあるのか、非常に疑問である。


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ヴァルカンの栄光

著者:D・C・フォンタナ
原題:Vulcan's Glory
翻訳:斉藤伯好
挿絵:金森達

Intoroduction

クリストファー・パイク艦長が指揮するエンタープライズに、新しくスポックやスコッティが赴任してきた。そんな矢先、長らく失われていたヴァルカンの至宝である「ヴァルカンの栄光」の行方についての情報が舞い込む。だが、その至宝によって恐るべき事件が引き起こされることになる…。

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この作品の駄目な所は、トゥプリスとスポックの愛には(後のTVシリーズのことを考えれば)悲惨な結末しか待ち構えていないだろうと容易に予測できてしまうところだ。まあ、パイクとナンバーワンも悲惨な結末にしかならないだろうとも言えるが、無茶ができないナンバーワンに対し、所詮小説オリジナルキャラのトゥプリス。9割方死ぬだろうなー(残りの1割は実は真犯人オチ)と思っていたら、案の定そうだった。「栄光の旅路」もそういう面がかなりあるが、結局辻褄あわせみたいなことに終始するのは大きなマイナスポイントである。とはいえ、この作品は駄作というほどひどい出来でもないので、それなりに読める。

ところで、序盤にセレックという謎の人物が現れて〜というくだりがあり、伏線かと思ったのだが、結局それに関しては何も言及されずじまい。他の未訳小説にかけた話か? ほんとに謎である。


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スター・トレック 新 宇宙大作戦

著者:ジョー・ホールドマン
原題:Planet of Judgment
翻訳:井坂清
挿絵:中沢修一

Intoroduction

科学的に興味深い惑星を発見したエンタープライズは、早速その惑星に上陸する。だが、上陸班は次々と奇怪な現象に襲われ、犠牲者まで出てしまう。さらに、人智を超えた生命体アリヴネ人が登場し…。

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注意! 感想にはネタバレが含まれます



徳間書店から出版された、二冊だけのST小説のうちの一冊。ややこしい副題がついているが、紛れもないTOS小説。
キャラクター名称は「ズールー」「ウーラ」と初期ハヤカワ版に合わせたとおぼしきものになっている。また、裏表紙の宣伝文には「航宙艦」という言葉が使用されており、ハヤカワ版を参考にしているのはまず間違いないだろう。
ただ、中表紙の宣伝文の「宇宙連邦軍が誇る最新重巡洋艦。宇宙の平和と秩序を守るべく巡航を続けて〜」、裏表紙の『「スター・ウォーズ」の原点となった宇宙大作戦シリーズの〜』というズレた文章が気になるが…。

さて肝心の内容だが、ストーリー自体は結構ありがち。しかし、発生する事態そのものはかなりシュールである。描写だけで言えば、TOS本編の「おかしなおかしな遊園惑星」あたりが近いかも知れない。そのシュールさを楽しめるかどうかで、この作品の評価は分かれそうだ。もう一つ特筆すべきこととして、登場人物の過去のトラウマをほじくりかえすシーンがあり、スポックは「バルカン星人の秘密」でカークを殺してしまった(と思い込んだ)こと、マッコイは離婚の経緯が描写されている。
なお、ジョー・ホールドマン作品はハヤカワ版でも「閉鎖世界チャタリア」が出ている。

解説は日本SF界の大物野田昌宏氏だが、STではなくSF一般のことを書いている。作品自体には触れない、と断っており、連載のつもりでSF話を書いていくつもりだったらしい。実際タイトルは≪スペース・アドベンチャーへの招待1≫となっている。同時期に出た、STと関係ない他のSF小説に2以降が載っているのであろうか?
ここからはまったくの余談。はっきり言って申し訳ないが、あまりに挿絵がヘタクソすぎるように思う。小説版「トップをねらえ! ネクストジェネレーション」のヘタクソ挿絵に匹敵する代物である(ちなみにそっちは、表紙は別のちゃんとした人という詐欺ぶり)。


上の作品ST小説トップ下の作品

スター・トレック 救世主(メシヤ)の反乱

著者:セオドア・R・コグズウェル/チャールズ・A・スペーノJr
原題:Spock, Messiah!
翻訳:南山宏
挿絵:佐藤道明

Intoroduction

新しく開発された、精神リンク装置。それを科学レベルの低いヒューマノイドが住む惑星でテストしていたエンタープライズ。だが、突如としてスポックが発狂して行方不明に。何と救世主と名乗り、惑星の支配に乗り出したのだ!

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徳間から出た、二作目のST小説。出版にかなりの間隔が開いていることなどから見て、特にシリーズとして出したわけではなく、単発的にチョイチョイ出した、という感じである。人物名は、上記作品と同様に初期ハヤカワ合わせである。ただ特筆すべき点として、「連邦宇宙艦」という訳語が登場する。ヴォイジャーの翻訳者はこれを参考にした…わけないか。

文章は細かい字で上下二段に分かれており、見た目より話は長い。が…つまらないとは言わないが、名作とは言いがたい。ごくごく普通の出来。人によっては駄作、と断じてしまうかも知れない。SF的に面白いわけでなし、キャラが魅力的に描けているわけでなし…。どうにもこうにも。

細かいことをいくつか。原注としてTOS本編の「コンピューター人間」に触れられているが、原題を「少女は何からできている?」と直訳しているためいまひとつ分かりにくい。
表紙のエンタープライズが、エンタープライズ改装型になってしまっている。
ドクター・ムベンガがほんの一瞬だけ登場。


上の作品ST小説トップ下の作品

ディープ・スペース・ナイン 潜入者

著者:ピーター・デイヴィッド
原題:Star Trek Deep Space Nine The Siege
翻訳:丹羽正之

Intoroduction

ワームホールが不安定になり、航行不能になるという事件が発生したDS9。一方その頃、DS9には様々な旅行者が訪れていた。特異な規律を重んじる一団、そして殺人狂の可変種が…。

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オドーVS殺人狂という可変種同士の対決というメインストーリーと、治療すれば助かるのに規律により拒否する一団と対するベシアというサブストーリーにより構成された作品。安定した作風で、そこそこ楽しめる一品。
後の可変種を知る者からすると、殺人狂可変種という設定は違和感があるかも知れないが、初期に書かれた作品ゆえ突っ込むべき部分ではないだろう。ただ、さすがにオドーが鏡になってフェイザーをはねかえすというくだりはナンセンス過ぎると思う。作者自身、序文にて重箱の隅つつきする人へ〜と予防線を張っているのだが、それでもこれだけは言わせて欲しい。もし鏡でフェイザーが反射できるとしたら、フェイザーは鏡を破壊できないことになる。だったら宇宙船を全面鏡張りにしたらフェイザーは効かないというわけだ。そんなわけがないだろう。日本のアニメではよくビームやらレーザーを鏡で反射させているが、だからといってSTでもやっていいことにはならない。そもそも、フェイザーはフェイザーであってビームやらと同じとは限らない。
映像作品では色んな制約でなかなかできない、オドーの七変化を小説という舞台を使ってバラエティに富んだ魅せ方をしている点が面白いだけに、この部分だけは残念だ。

著者のピーター・デイヴィッドは、ハヤカワでも「エンタープライズ狂騒曲」、「ヴェンデッタ」を出している他、海外では小説オリジナルシリーズのNew Frontierも執筆している。


上の作品ST小説トップ下の作品

ディープ・スペース・ナイン 血の福音

著者:K・W・ジーター
原題:Star Trek Deep Space Nine Bloodletter
翻訳:丹羽正之

Intoroduction

カーデシアが不穏な動きを見せている。科学調査船と偽り、軍艦をDS9に入港させていたのだ。一方、DS9にはベイジョーの過激派組織レデンプトール会の一団が…。

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なんとも底の浅い作品。レデンプトール会がテロリズムに走った背景の説明が希薄なので、単なるキチガイ集団がきたのでやっつけた、程度のつまらない話にしか見えない。
事の是非はともかく、レデンプトール会の行動原理にも一理あるな、と読者に思わせるくらいのことは書くべきではないだろうか。もしくは、あくまでレデンプトール会はストーリー進行上の道具として、レギュラーキャラクターに心情を吐露させたり魅力的にみせたりするための触媒の役割に徹させる、とか。
この作品はそのどちらもできていないため、結果としてたらたら鬱陶しいだけの作品になってしまっている。


上の作品ST小説トップ下の作品

ディープ・スペース・ナイン 究極のゲーム

著者:サンディー・スコフィールド
原題:Star Trek Deep Space Nine The Big Game
翻訳:丹羽正之

Intoroduction

クワークは、銀河中からギャンブラーを集めた大ポーカー大会を開き、イカサマで一儲けを企む。ところがそんな時、DS9を謎の衝撃波が襲い、その混乱のなか参加者が殺されてしまう。そしてさらに悪いことに、衝撃波をお互いの破壊行為と疑ったカーデシアとベイジョーが一触即発の事態に発展し…。

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うーん、なんとも言葉に詰まる。ふつうの話をふつうに展開しただけ。とりたててつまらない点も見当たらないのだが、だからといって面白い点も特になく。ST本編でよくある、タイトルだけではどんな話だったか思い出せない、影のうすい作品に感じとしては近い。
ちなみに、ルーサとベトール、グランドネーガスが登場。
なお、著者のサンディー・スコフィールドというのは「脱出」を書いたディーン・ウェスリー・スミスとクリスティン・キャスリン・ラッシュの共同ペンネーム。

ところで解説に「トリル本星は本編未登場」と書いてあるが、真っ赤な嘘である。


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ヴォイジャー 脱出

著者:ディーン・ウェスリー・スミス/クリスティン・キャスリン・ラッシュ
原題:Star Trek Voyager The Escape
翻訳:山口智子

Intoroduction

鉱石採取のため、無人の惑星に降り立ったキム、トレス、ニーリックスの三人はアクシデントでタイムスリップしてしまい、惑星の監理局に捕まってしまう。何と、タイムスリップ行為は極刑だというのだ。
一方その頃、三人の行方を捜すヴォイジャーの前には、その惑星の者が現れていた。

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タイムスリップをネタにした、なかなか面白い作品。特に面白いのはやはり、複雑にからみあう時系列だろうか。
正直言って角川から出たSTのオリジナル小説はハズレが多いが、これは文句なく楽しめる一品だ。


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ヴォイジャー 最終戦争領域

著者:ネイサン・アーチャー
原題:Star Trek Voyager Ragnarok
翻訳:山口智子

Intoroduction

管理者の手がかりを追うヴォイジャーは誤って、二国間が何百年もの間戦争を続けている領域に入ってしまった!

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「戦争地帯に突入しちゃったので命からがら逃げてきたら、なんかしらんけど戦争終わるっぽい」というだけの下らない作品。さんざんひっぱっておいてこのふざけた結末である。で? だから何? と声を大にして言いたい。はっきりいって読むだけ時間の無駄。

ちなみに巻末に用語解説が載っているが、まあ例によって例の如く嘘だらけである。光子魚雷は光子爆発を引き起こすものではない(物質と反物質を融合して爆発を引き起こしてるだけで、光子とは無関係)し、マキはベイジョー人が組織したわけではない(移民者の土地がカーデシア領になったりして、色々ひどい目にあった色んな人種の人達が中心)し、ホロエミッターが登場したのは「未来からの警告」ではなくて「29世紀からの警告」だ。


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ヴォイジャー 複合違反

著者:スーザン・ライト
原題:Star Trek Voyager Violations
翻訳:山口智子

Intoroduction

テュートピア星系へやってきたヴォイジャーだったが、コンピュータのメインプロセッサーを盗まれて機能不全に陥ってしまう。なんとか艦の機能を保ちつつ犯人を追おうとするが、状況はさらに悪化してゆく一方で…。

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まあ、可もなく不可もなく。なんとも普通の話。あまり印象に残るようなものもない。こうしてみると、角川から出たオリジナルST小説はDS9とVOYでそれぞれ順に良い、まるで駄目、印象薄いと同じパターンが見られる。

角川のシリーズはそれぞれ五冊出し、続編の予定があると言いつつ消滅してしまった。まあそれもSTがマイナー云々とか言う以前に至極当然な話で、「海外で出た順番に訳していく」なんていう訳の分からないところにこだわった結果、つまらないものばかりになってしまった。海外で何が受けて何が受けなかったのかは調べれば分かることなのだから、傑作をチョイスして訳していくべきだったと思う。もちろん日本と海外で趣向の違いはあるだろうが、それでもただ漫然と、取捨選択もなしに訳していくよりはずっといい。
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