7.続・ホトトギス
5月19日(土)
矢田丘陵の麓に「お気に入りの場所」と名付けた鳥見場がある。住宅街のすぐ横に広がる田園風景から車1台(軽トラぐらい)がやっと通れる山道のような農道に入り、竹やぶとこじんまりした林に囲まれた薄暗いあたりを抜けると、突如、向こうに矢田丘陵の稜線が見渡せる扇方に広がった「奥の田園」が現れる。ここがお気に入りの場所である。
運が良ければノスリなどの猛禽類が空を舞う。キジが目の前で「きー、じっ!」と鳴く。一服するうちに、頭上の木の枝にエナガやシジュウカラが祭りのように集まっては去っていく。イタチがひょっこり顔を出す。
ただし今日の話は、その手前、住宅街のすぐ横に広がる田園風景の端っこの林の話
ここもいつも散歩で通るところで、確かに、鳥がけっこう集まる場所ではある。しかし、今日、ここでも、はじめて、ホトトギスの鳴き声を、聞いたのである。今年は、ホトトギスたちに、何か、異変が起こったか、いつもは行かないところに立ち寄るようである。
今日の話はこれでおしまい、なのだが、ホトトギスたちにしてみれば、お前が立ち寄る場所にはお前がおらん時にいつも行っているのだよ、なのであろう、自己中もいい加減にしろ、なのであろう
やれやれ
【おまけ】
先にホトトギスは用心深いと書いたが、用心深いといえばウグイスだ。すぐ近くで鳴き声が聞こえても必ずや藪の中、姿を見せることはめったにない。
これも今日の出来事だが、いつもカバがワラビを漁るちいさなため池の近くの、こちらも、両側に竹やぶや林が鬱蒼とした狭い道沿いで、ヤギが歩く右前方から「じぇっ、じぇっ、じぇっ」というウグイスの地鳴きが聞こえてきたのだ。ふと目をやると、道すぐの木の枝にウグイスが2羽、地鳴きながら飛び交っている。
思わず足を止め息を殺した
残念なことに、ビデオカメラをザックに入れたままだった。そーっと取り出そうかとも考えた。だが、そうすれば必ず逃げてしまう。と考えた数秒後、1羽は飛び去った。
「おっと、まだ1羽いる、どうしよう、出すか…」と考えたが、やはりやめた。しばらく目の前で地鳴きするウグイスを見ていよう、うん、目の前で見ても、やはりウグイスはウグイス色ではないな、どちらかと言えば茶色だな、それから、小さい鳥なんだ、メジロよりも、小さいぐらいかも…
こんなことを考える間の、私には10秒ぐらいかと感じられたがおそらくは5秒ぐらいだろう、そのウグイスは「じぇっ、じぇっ、じぇっ」と地鳴きを繰り返し、私の目の前で、時に私をにらみながら、飛び去るべきか居るべきか、思案していたのである。
嬉しい一日であった
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