7.人として
5月22日(日)
5月7日(土)「5.続・ゴールデンウィーク」、5月16日(月)「6.春はしののめ」と、鳴き交わすホオジロの話題を書いたが、先週は、ほぼ毎朝、4時半ごろに外に出て、鳴き交わすホオジロを聞いた。
もうこうなったら、観察による立証をしなければならない
先週の観察により、「シンクロ」というのは正確ではないことが分かった。じつは、1羽が囀り終わると、もう1羽が、ほぼ間髪を入れず囀り始める、「掛け合い」なのであった。
ということで、今朝は、朝4時から5時まで外にいて、鳥たちの様子を観察した。
<観察記録>
・午前4時
空はまだ真っ暗。
・午前4時7分
遠くでケリが鳴いた。ケリは夜中でも警戒の声を発する。
・午前4時12分
うすーく明るくなったような気がした。
・午前4時20分
やはり、ヒヨドリから鳴き始めた。それからほぼ同時に、カラスの鳴き声。少し濁った声なので、ハシボソガラスだろう。これは想定通り。ケリは夜通し鳴くのでカウントしないとして、朝一番に鳴くのはヒヨドリかカラスだと予想していたのだ。あるいは、キジバトの可能性も頭にはあったが。
・午前4時23分
ヒヨドリ、カラスの鳴き声が、遠く近くで、少し騒がしくなった。「カーカー」と澄んだ声のハシブトガラスも交じり始めた。この数分で、明るさが増した。
・午前4時26分
さて、いよいよ、右手の林の方のホオジロから口火を切り、家から左の方にある竹林のホオジロへ、鳴き交わしが始まった!
・午前4時30分
ウグイスが鳴き始めた。ホオジロたちは規則正しく鳴き交わす。
・午前4時34分
スズメがやってきた。ホオジロたちはさらに続けて鳴き交わす。
・午前4時44分
ここで、竹やぶのホオジロの声が止む。
・午前4時46分
ツバメが1羽、2羽、3羽とやってきて、電線に留まりつつ、けたたましく、元気に鳴き始める。ヒヨドリ、カラスの声のボリュームも上がる。
・午前4時48分
ついに、林からのホオジロの声も聞こえなくなった。
・午前4時52分
ヒヨドリ、カラス、ウグイス、スズメ、ツバメの声の隙間から「フーフー、ホッホー、フーフー、ホッホー」とキジバトの声が聞こえてきた。林からのホオジロの声は再び聞こえるが、竹林のホオジロは、いなくなったようだ。
<以上>
わたしは、この観察結果に満足し、家へと戻った。そこでは、カバが起きてきていた。
「カバよ、今朝は、ホオジロの鳴き交わしについて、報告することがある」と、わたしは、すでに自慢げな声で、呼びかけた。続けて、
「ホオジロは、やはり、午前4時半少し前、正確には、4時26分に鳴き交わし始め、午後4時45分ごろ、正確には、1羽は4時44分、もう1羽は4時48分だが、他の鳥たちの声が強くなるころ、鳴き交わしをやめるのである。これは、朝4時から5時までの観察記録により、立証されたのである。」と説明した。
さて、このヤギの報告に対して、カバは一言、「あ、そっ、頑張ったね」と、ねぎらいの言葉をかけたのである。そして、そのあと、
「その根気を、あーた、自分の研究に向けられていたらねぇ…」とつぶやいた。
・・・・・
言うまでもない、わたしの観察は、おそらく、今日でおしまいであろう。明日も、明後日も、4時半ごろ庭に出ることがあるかもしれないが、それは、単に、朝の空気を楽しむために、煙草を吸いに出るためであろう。やがて、ホオジロが鳴き交わすことすら、気に留めなくなるのであろう。
ああ、カバよ、わたしは、そもそも、人として、「根気」「粘り」「探究心」を、持ち合わせていないのだよ
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