国語力向上モデル事業

平成15・16年度 文部科学省・奈良県教育委員会指定

研究主題「話しことばを磨く指導の工夫」


T 研究のねらい

1 平成13・14年度の実践を振り返って

  
 ・総合的な学習の時間を有効に活用するために
      ○ 生徒が主体性を伸ばし、創意工夫する場とする
      ○ 全教師がこの時間を活用し、教育活動を相互に関連づける
     ・統一テーマ「ふるさと再発見」→「自分再発見」へ
     ・各学年の取組
       1年「福祉・ボランティア学習」  2年「職場体験学習」   3年「平和体験学習」

 
2 総合的な学習の時間における国語力の必要性
   
 地域の人たちとのふれあいが増えるにつれて、生徒のコミュニケーション力の不足が明らかとなる。
       国語科のみならず、全校態勢で国語力を高めるための方策
を考える必要がある。

3 生徒の実態から

  
 【日常の言語生活における生徒の問題点】
    ・あいさつがきちんとできない。あいさつの声が小さい。    ・単語で話し、文末まできちんと話せない。
    ・人の話をしっかり理解して聞くことが苦手である。
 「話す力」と共に、聞く力を育てていかなければならない。

U
 研究の方向と研究仮説

1 研究の方向 
  @学校教育目標との関連
    
1 命を大切にする生徒   2 主体的に学ぶ生徒  3 自己責任を持つ生徒
   A校訓との関連  
 「自主・友愛・献身・剛健」
   B指導の重点
   
☆「深く考える頭」「豊かな心」「健全な心身」を持った知徳体のバランスのとれた生徒
   ☆自ら課題を見つけ、粘り強く追究する態度を育てる「総合的な学習の時間」の在り方

  C研究の方針
  
 ・目指す生徒像、育てたい力の共通理解→研究主題
   ・各教科、担当で育成したい力の教師間の相互理解→努力目標
   ・知的財産の共有化→取組の記録、保存、見直し
   ・みんなに広める研修→自己研修の内容を交流

 
2 研究仮説 

仮 説 1 仮 説 2
 指導者が生徒の日常の言語生活上の問題点を共通認識し、改善に向けて日常の訓練的な指導を強化することで、他の学習活動における言語能力も向上するのではないか。  各教科等の学習で付いた力を実践する場を「総合的な学習の時間」ととらえ「伝え合う力の育成」を中心に「各教科等」と「総合的な学習の時間」の関連を強化することで相互に効果を上げることができるのではないか。
仮説1に基づく実践・研究
@学校生活における言語能力 の向上のために
A「さみどり実践行動」
 a 朝の10分間読書
 b 全校朝礼時
    生徒読書スピーチ
 c 全校朝礼時
    教師講話
 d 校内百人一首大会
B「さわやか実践行動」
 a 学級指導の充実
    短学活の在り方、班活動
 b 道徳性の涵養
    資料、指導法の研究
C「すこやか実践活動」
 a 部活動中心のあいさつ運   動
 b 部活動報告の実施
   
仮説2に基づく実践・研究
@総合的な学習の時間における育てたい力の確認→観点表作成


A「総合的な学習の時間」と「各教科」「道徳」「学活」「学校行事」等との関連を図る。→総合的な学習の時間の年間計画の中に関連を位置づける。


B国語科との連携及び国語科における<話す・聞く>指導の重点化

 

  3 研究の方向(構造図)

 4 研究組織

   仮説1に関して…学校教育目標推進「知徳体」部会の取組
              全教師が「さみどり知育部会」、「さわやか徳育部会」
              「すこやか体育部会」に分かれ、日常の言語生活の向上を目指す。
   仮説2に関して…各学年部会による「総合的な学習の時間」「特別活動」「道徳」
              
各学年で担当する「総合的な学習の時間」で生徒に必要な話す力を育てる。 

V 初年度の取組
 
1 初年度の取組の経過 

    1学期 知徳体部会チーフ会議
         生徒指導研修「生徒指導上の問題点」
         2年研究授業「働く人の生き方と考え方」研究協議
            講義 「総合的な学習の時間で大切なこと」
              県立教育研究所 島 恒生 指導主事
         学級経営研修「エンカウンターの活用」
         パソコン研修「パワーポイントの活用」

    2学期 文化発表会における総合的な学習の時間の報告会
         各学年の取組を振り返って研修
            講義「プレゼンテーション能力の向上」
             奈良県教育委員会 中澤清文指導主事

    3学期 山添村教育研究会における公開授業及び実践発表
         講話「魅力的な話し方教室」
            NHK奈良放送 島田 稔チーフアナウンサー

 2 各学年の取組「総合的な学習の時間」

    *各学年が文化発表会時に報告会を開く。
    *1,2年生は村教育研究会時に公開授業
   
    1年 主題「ボランティアをしよう」(福祉・ボランティア学習)
    2年 主題「生き方を考える」(職場体験学習)
    3年 主題「沖縄から学ぶ」(平和体験学習)

W 2年度の取組
 
1 研究の経過 
   
 ・全教育活動の見直しと関連づけ→全教育活動一覧作成
 
2 知徳体部会の取組より
   A「さみどり部会」

   
@生徒読書スピーチの改善
      
・スピーチ原稿の推敲強化、生徒審査の導入
   
   A教師講話の改善と聞き取りテストの分析
      
・聞き取りテスト及び感想を教師講話の反省材料とし、生徒自身はしっかり聞き取れたか、簡単な確認テストをする。
      Bスピーチ活動の広報と保護者への啓発
      ・国語科通信を通して
      C朝読書「さみどりタイム」の多様化→読み聞かせ実施
   
B「さわやか部会」
    @教師講話「会話の主導権はどこにある」
    A構成的エンカウンターの活用
   
C「すこやか部会」
    @「あいさつ運動」強化→発声練習、マナーの指導
    A「部活動報告」における各自の決意表明や試合結果報告
        
  3 総合的な学習の時間の取組より
  各学年に共通する 育てたい力>
   ・課題を設定し、解決に向けて根気よく追究する力
   ・情報を収集し、活用する力
   ・実践的プレゼンテーション能力
   ・実践的コミュニケーション能力
   ・自己の生き方、学び方を考える態度 
 @第1期 1年1学期〜2学期
              
「福祉・ボランティアについて考える」

<アイマスク体験>        <車椅子体験>

<道徳 笑顔でボランティア> <デイサービス訪問>

   
 
A第2期 1年3学期〜2年2学期  「職場体験学習」

  <職業講話>  <職場体験 保育園にて>


 B第3期 2年3学期〜3年1学期  「平和学習」

<4月沖縄修学旅行> <修学旅行 エイサー体験>

C第4期 3年1学期〜3年2学期 「生き方を考える」

 <6月 先輩に学ぶ> <道徳 「在校生へのメッセージ」より>

4 国語科との連携における取組より
   
総合的な学習の時間とは別に、総合基礎「国語」として、以下のような学習指導に取り組んだ。

  @第1期 1年1学期〜2学期
              
「福祉・ボランティアについて考える」

  
 a 4月「図書館の利用のしかた」
    b 4月「福祉・ボランティアに関連した図書紹介をしよう」
    c 5月「生き生きした原稿を書こう」(野外活動に関して)
    d 11月
「調べたことをポスターセッション形式で発表しよう」
        
 A第2期 1年3学期〜2年2学期  「職場体験学習」
  a 5月「電話の応対のしかた」
  b 6月「職場事前訪問に向けて」
    c 9月
「職場体験をニュース番組風に報告しよう」 
   d 9月「お世話になった事業所の方へお礼の手紙を書こう」

 B第3期 2年3学期〜3年1学期  「平和学習」

   a 2月「平和のメッセージ」を作ろう
   b 5月「修学旅行でお世話になった人に心を込めて礼状を書こう」
   c 5月「沖縄修学旅行新聞を作ろう」

 C第4期 3年1学期〜2学期 「わたしたちの学校案内を作ろう」
  企画・編集会議を通して、パンフレットの原案を作り、プレゼンテーション を行う。相互批評し、再度案を練り直して、パソコンで作成する。できあが ったパンフレットは、新入生説明会に配布する。

X 2年間の取組の成果と課題

 
1 学校生活全体で高める話す力
  「知徳体の取組から」
 @ 朝の10分間読書のさらなる活用

 
朝読書は定着。今後は読み聞かせや音読の機会を設ける。
 
A 全校スピーチで意欲と自信を育てる          
 
スピーチの心得を示し、内容や発表に関する生徒審査を行う。その結果、原稿に頼らず、堂々と発表できるようになった。 またよいスピーチをモデルに、自分のスピーチの構成を考えることができるようになった。  
 B 教師講話で生徒の心に働きかけ、話術を伝える
 
年に1回の講話ではあるが、専門性や特技を生かし、生徒の興味を引くような講話を工夫するようになった。また、小道具を効果的に使い、視覚に訴える講話を心がけるようになった。
 
C 豊かな話しことばを育てるための土壌を作る
 学校生活のみならず、家庭や地域の力も大切である。通信等を通して情報発信することを継続しなければならない。また、双方向に情報交流できる方法を定着させなければならない。 
 
D 部活動も話しことばを鍛える場として活用する
 
主に部活動では、挨拶運動や朝礼の時間を生かした部活動報告に取り組むことにより、はきはきとした言動が見られるようになった。

  2 総合的な学習の時間に話しことばを育てる
 
 各学年で取り組んでいる総合的な学習の時間では、学校外の人との交流の時間も設けられている。学んだことを実践的プレゼンテーションや実践的コミュニケーションの力として生かすために積極的にこの時間を活用するようにしている。

  3 国語力をあらゆる場面で伸ばすために

 国語力をい伸ばすために、国語科のみならず他教科での国語力の向上を積極的に図っていく必要がある。総合基礎「国語」として、他教科や学活、道徳等にかかわり、話し合いやレポートのまとめ方等の学習をし、他教科でもその力を積極的に生かしていくようにさせたい。