ショートショートストーリー / 野菜と話そう
野菜と話そう
野菜と話そう 1-4
皆様大変長らくお待たせ致しました。
私は本日の進行を務めます○○○会社、研究開発部門の福田と申します。
先般、新聞・マスコミで報じられました、当社の新製品についてのご説明を申し上げます。
この当社未発表に商品ついての各報道では、憶測での報道が多くございました。
特に遺伝子組み換えの技術とかの間違った報道に苦慮しております。
さて、この製品は当社の最新のバイオテクノロジーを駆使しました。
野菜の遺伝子にバイオチップ技術と埋め込み・生育に成功したものであります。
これにより、野菜の持つデーターを利用することに成功致しました。
「は〜い、それは何を意味するのですか?」
いい質問を頂きました。
先ほど、野菜にバイオチップを埋め込むと申しました。
バイオチップ野菜は最終消費者に届くまでの生産者〜流通過程の全ての記録します。
この記録を保持し続け、最終消費者が確認できるシステムです。
バイオチップ野菜のご利用方法は店頭に並んだ野菜の前で、ただ質問すれば良いのです
消費者:「野菜さん、生産者は?何処から来たの?」
野菜:「生産者○○信夫・○○県」というように、消費者の直接の質問に答えます。
一般的なICタグやシールなどと違い手間が掛かりません。
もし、生育や流通段階に生物としての悪影響があれば、バイオチップは存在しません。
極めて上質な品質を維持する野菜の証明手段であります。
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野菜と話そう 2-4
「は〜い、本当に野菜が喋るんですか?」
はい、その通りです。
野菜の話す項目・内容は予めバイオメモリーに設定して埋め込んでいます
実際の音声はとても小さいのですが、実用上は問題の無いレベルと考えております。
バイオチップは生育と共にバイオメモリーを増殖させて、メモリー不足もありません。
また、保存するデーターは暗号化をするので、途中の悪意の改竄は不可能です。
これは、消費者にとって安心できる野菜であると証明できます。
「は〜い、そんな最新のテクノロジーを使うと、野菜の値段が高くなりませんか?」
当然試作品は莫大な開発費を必要としました。
ですが、バイオチップは菌類の一種を使っており、簡単に言えば培養による量産化が可能です。
従って実用化のメドがつけば、一気に低価格も実現可能になります。
現在市場に流通するICタグやシール等の最終的な処理はゴミとなり、資源の浪費です。
ですが、バイオチップ野菜は違います。
加熱処理等の調理で丸ごと食べれる利点があります。これほどエコな技術はありません。
「は〜い、開発の理由は?」
よくぞ、お聞きくださいました。
このバイオチップ技術を他国の野菜に組み込むと、どうなるかをご想像ください。
日本が消費する食材の多くを輸入に頼っていますが、国・民間に野菜の全品検査はありません。
長期に農薬漬け野菜を食べたいですか、これからの人生の影響や子供さんの未来があります。
我が社は食の安全を第一と捉え開発を始めたものです。
日本人が安心して食べれる野菜確保する為、このバイオチップ野菜を開発しました。
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野菜と話そう 3-4
「は〜い、開発の中断があったそうですが?」
それが、バイオチップが虫に食べられてしまうアクシデントでした。
丸ごと食べられる利点が、逆に食べられてしまったらどうにもなりません。
「は〜い、どのように解決したのですか?」
はい、バイオチップに虫を威嚇させました。この技術は企業秘密です。
薬剤の散布はバイオチップには致命傷であり、もし薬剤を使えば記録されます。
この点でも安心な野菜であると言えるでしょう。
「は〜い、開発に一番ご苦労されたことは?」
よくぞ、お聞きくださいました。
最大の苦労は、バイオチップが幼い生命体であることでした。
野菜の生長と共に知能を上げていかなければなりません。
丁度お子さまの教育する・・といった事です。
「は〜い、教育とは?」
はい、真面目に記録を続けて嘘・偽りの無い成長をさせなければなりません。
また、悪意の改竄防止にどのように知恵を持たすのが難しかったと思います。
「は〜い、知恵とは?」
これは企業秘密です・・
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野菜と話そう 4-4
まだご質問があるかと思いますが、ご説明の予定時間も過ぎました。
次に移りたいと思います。
それでは、バイオチップ野菜との実際の対話に入りたいと思います。
さて、ここにある野菜達は一見して違いが判らないと思います。
えっつと、君こっちだっけ。
大変失礼しました。
研究開発部門の福田:キャベツさんよ、何処から来たの?」
バイオチップキャベツ:「埼玉県」
研究開発部門の福田:キャベツさんよ、生産者は?」
バイオチップキャベツ:「山田太郎」
パラパラの拍手をありがとうございます。
研究開発部門の福田:玉ねぎさんよ、何処から来たの?」
バイオチップ玉ねぎ:「三重県」
研究開発部門の福田:玉ねぎさんよ、農薬は使ってましたか?」
バイオチップ玉ねぎ:「使ってないけど、目が痛いよぉ」
パラパラの失笑ありがとうございます。
嘘・偽りの無い成長でもあります(汗
引き続いて、ごぼうに聞きたいと思います。
研究開発部門の福田: ごぼうさん、何処から来たの?」
バイオチップごぼう:「・・・・・」
研究開発部門の福田:いゃ、ちょっと調子が悪いみたいですね。」
研究開発部門の福田:「気を取り直して。ごぼうさんよ、何処から来たの?」
バイオチップごぼう:「・・・・・」
小さな声で・・
研究開発部門の福田:「おぃ、どうしたんだよ!」
バイオチップごぼう:「おぃ、福田!成功したかったら、金を出せ・・」
研究開発部門の福田:「・・・」
野菜と話そう
H21.6.24修正加筆
H23.12.24修正加筆
H24.1.3修正加筆
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