ショートショートストーリー / 選択する


選択する

選択する 1-1

男前の雄二はどちらかの選択に迫られていた。


そう、うまくやっていたつもりだったが・・

幸子と道子との二股交際がばれた。

雄二の女の好みは決まって、性懲りもなく気の強い女だ。

目の前の二人に雄二の頬は左右とも赤く腫れていた。


「雄二!どっちを選ぶの?」


そんなこと言っても、どっちかを選べばどっちかが収まらない。

俺はどうしたらいんだろう。

腫れた頬をさすりながら、この場をどう逃げ切れるか考えていた。

何とか、何かをしなければこの場は収まらない。

・・・。 そうだ、神頼みにすればいい。

雄二は胸のボールペンを取り出した。

そして、二人に言った。

「このボールペンの倒れた方と交際する。

僕は二人とも好きなんだ。だけど、僕には決められない。

神様に決めてもらうよ。」

幸子と道子はお互いに確認して、雄二に頷いた。


じゃあ、やるよ!

「お願いします!」雄二は運を神に祈った。

ボールペンが雄二の指から離れてゆく・・・


   グサ!


一度土に刺さったボールペンはゆっくりと傾いていった。


   ボテ!


雄二はボールペンの倒れた方と交際すると言った。言ったのだ。

幸子と道子の二人が倒れたその方向を見れば・・

そこに3人目となる悦子が立っていた。


3人は手加減なしで、雄二を袋叩きにした。

サバサバしたのか、女3人の笑い声が校庭に響いた。




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H21.7.8初稿
H24.1.5修正

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