こうもり博物館
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標本台の下は各種の道具、台上は剥製と骨格標本。壁面には手作り感あふれる解説や写真と子のホルマリン漬け標本等
最近、家から車で30分ほどの木津川沿いにこうもり博物館があることを知った。
先々週、暇を持て余していたので行ってみたら臨時休館で閉まっていた。
そうなるとますます見学したくなり先週また行きました。
東洋蝙蝠研究所に併設された博物館で扉を開けると学芸員らしい女性が出迎えてくれた。
他に見学者はいないのでその方がずっと付いて展示などの説明をし、親父の質問にも答えてくださった。
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夜はコウモリが飛ぶような森を背にしたこうもり博物館 |
驚いたことにコウモリ(翼手目)は哺乳類の中でネズミ(齧歯目)に次いで種類が多い。
日本に約100種いる哺乳類の3分の1、33種がコウモリらしい。
ちなみに1位のネズミ目は40種ほどいてこの2目で日本の哺乳類全体の7割ほどを占めている。
そんなことあるかなあという顔をしている親父に「クマは何種いますか。」
「ヒグマとツキノワグマ・・・かな。」
「たった2種でしょう?」
世界でも4300種いる哺乳類中約1000種、4分の1を締めていている大勢力らしい。
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左がアブラコウモリで手の平大、右がクビワオオコウモリ |
「町でもよく見かけるコウモリは何ですか。夕方、住宅の軒に入っていくところをみました。」
「アブラコウモリです。イエコウモリとも呼ばれてコウモリとしては珍しく人の近くで暮らすコウモリですよ。」
「ぶら下がらずに屋根などの隙間に潜り込んで体を安定させれば眠れるので人家は生活し易い場所なのです。」
館内には家の模型がありどんなところに隠れているかの展示もあった。
「アブラコウモリは体重6g程度ですが一晩に400〜500匹の蚊を捕まえて食べます。」
それは体重の半分ほどにもあたるすごい量なのだ。
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夜は色の違いは無意味なので鳥や蝶の華やかさは全くない |
ところで中国に蚊の目玉料理があるのを知っていますか。
そんな話を聞いたことがあるがどうやって蚊の目玉を集めるか分からなかった。
その学芸員によればコウモリが捕食した蚊の体は消化されるが目玉は消化されず残るという。
アブラコウモリのような蚊を主食とするコウモリの糞を集めて水で溶かす。
それを濾すと蚊の目玉だけが取り出せる。
そのようにして集めた目玉でスープをつくる。
当然、目玉が飛び出るような非常に高価な料理になるが世界の珍味中の珍味・・・らしい。
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世界のコウモリグッズコーナー、浮世絵にも描かれている |
「中国人はなんでも食べます。」と楽し気に語ってくれたが眉唾か都市伝説みたいな気がしなくもない。
学芸員はコウモリが大好きで次々に面白い興味深い話が飛び出してくる。
江戸時代までは浮世絵などにも描かれてコウモリデザインの小物も愛されていた。
コウモリが日本で嫌われだしたのは最近のことらしい。
イソップ物語が一般に読まれるようになって獣の側についたり鳥側についたりずるいやつ思われた。
また、南米にいる吸血蝙蝠がドラキュラのような印象を与えたようだ。
だが中国では今も縁起のいい動物として模様などにも使われている。
ここには世界中のそんなコウモリグッズなどの展示もあって小さいながら最高に面白い博物館だった。