笊ヶ岳(7月17〜20日)

富士山の裾の雲海は朝から笊ヶ岳に登るまで動かず、浮世絵のような景色を見せていた

17日

午後5時、赤谷山にも行ったいつものメンバー5人が河内磐船に集合、静岡IC経由して富士見峠のあずまやに0時着。
真夜中の山道なので少し急いだら車に酔った人もいたようだ。
あずまやの床にシートを敷いて軽くビールを飲み4時間ほど仮眠する。

出発地点、中の宿吊り橋は立派な橋だった

18日

井川えほんの郷6時発の井川観光協会バスに間に合わせるため5時出発。
7時半、中の宿つり橋到着。
心配していた梅雨はすっかり明けて快晴、暑さを心配した方がよさそうだ。
つり橋を渡って歩き始めたらさすが、南アルプス深南部の難ルート、最初から踏み跡が分かり難い。
中の宿沢にやっと出ると岩を跳んで渡るのには広すぎる中途半端な距離の流れが行く手を遮る。
リーダーのIさんは上流側、下流側に濡れずに渡れるような場所がないことを確認すると躊躇なく靴のままざぶざぶと渡って行く。
親父は靴を脱ごうかと思ったが流れで変に滑り、踏ん張れなければヤバいのでやはり靴のまま渡渉した。
結局、今回靴を新調したAさんだけが裸足で渡渉、他の人は靴を履いて渡渉、向こう岸で靴下を絞る。



沢を渡渉後、びしょ濡れの靴下を絞る

尾根に取り付いてしばらく登った時ザックから水が垂れてきた。
手で探ってみると酒の匂いがする。
親父は酒担当でバーボン500mlと焼酎750ml、ビールロング缶3本を持っている。
最初はバーボンがちょっと漏れた程度かと思って高をくくっていたら焼酎がすっかりこぼれてザック内は焼酎まみれになっていた。

このルートを登る人は少なく踏み跡が判りづらいというか他の人も迷っているようであちこちに踏み跡がある。
1600m付近でルートが判らなくなったので皆で探していた時30mほど下で黒いものが動くのが見えた。


登山道はずっと木陰を行くので涼しい

あれ!I さんはずいぶん下りて探すなあ、そんな下まで行かなくてもと思ってよく見ると熊だった。
木の皮が剥かれていたり茂みで音がしたりここは熊が多いようだ。
それからは木を叩いたり声を出したり熊を警戒して歩く。
所の沢越に3時半到着しテントを張る。
親父は焼酎漬けになった雨具やエアーマットなどを木にかけて干す。
いつものように豪華な夕食も、アルコールが少なくてごめん!


テープを巻いて痛々しい?登山靴

19日

3時半起床、5時出発。
今日もいい天気だ。
梅雨は完全に開けてこれから晴天が続くのだろう。
木の間越しに青く富士山が雲海に浮かんで見える。
歩き始めてしばらくしてふと爪先を見たら靴の底が10cmほど剥離して開いている。
前につかった後も爪先の上部が少し剥がれかけているなと思っていたがこんなに急激に剥離するとは思いもしなかった。
親父はだめだが他の人は用意周到なベテランばかりだからたちまちテープを出して応急修理をしてくれた。
途中、テープが擦り切れそうになったら補修して無事椹島まで持たせることが出来た。
皆さん、ありがとう。


ここから主稜線を外れ椹島まで長い下りとなる

布引山頂上直前で雨畑側からの道と合流すると道はしっかり整備されている。
布引山(2584m)8時、笊ヶ岳(2629m)9時20分。
この笊ヶ岳頂上がやっと森林限界から抜けて360度の視界がある。
西には聖岳、赤石岳、荒川岳、北には北岳、間ノ岳、東には富士山や甲府盆地が見える。
しばらく頂上で景色を楽しんだ。
ここからは標高1100mの椹島ロッジまで標高差約1500mをただひたすら下るのみだ。
道は良く整備されているし木陰を歩くのでそんなに暑いこともない・・・が、何しろ長くきつい坂だった。
足ががくがくになりながらも無事椹島ロッジ15時着。
風呂に入り気持のいい部屋で皆さんと冷たいビールを飲んだら親父だけたちまち眠ってしまった。


20日

朝5時起床、椹島周辺を散策。
8時東海フォレスト送迎バスで畑薙第一ダムまで行く。
ここから井川観光協会バスに乗るため白樺荘まで歩きバスを1時間半ほど待つ予定だったが、Aさんの機転でここの 停留所の駐車場から帰る車に井川えほんの郷まで親父が便乗させてもらい駐車していた車を回送した。
便乗させてくれた人は島根から1人で来て荒川岳を回ってきたということだった。
これから途中の多賀SAのハイウエイホテルで泊まって帰りつくのは翌日らしい。
我々でも少し遠いと思うのだが島根から1人では大変だなあ。
その親切な人の車に便乗させてもらい時間を短縮できたお陰で18時に河内磐船につき解散した。

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