【はじめに】
社団法人吉野青年会議所は2011年、創立40周年を迎え2012年度は次の10年に向けて新たな一歩を踏み出します。この40年間、「明るい豊かな社会の実現」という目的のもと、吉野地域における歴史・文化・自然環境を生かし、様々な事業を通して「吉野を愛する心」を先輩諸兄が育まれてきました。そしてその志を引き継ぐべく「敬愛」「慈愛」「家族愛」「郷土愛」をいう4つの「愛」をキーワードにした「未来を照らすよしのびとの創造」を目指した事業を展開していく事が創立40周年運動指針として採択されました。しかし吉野青年会議所にとっての「次の10年」は黙っていても来るものではなく、自ら進んで到達しなければならないものです。吉野地域における「JCの存在価値」とは何なのか。私は「明るい豊かな社会への実現」に向けての運動、それに連なる各事業の開催ももちろん、それと同じくらい大きな理由として、その運動にメンバーとして参画することによって得られる「資質向上」があると思います。
各事業における企画立案工程、適正な予算計上と対費用効果、事業結果報告、決算。
会議で求められる資料精度、プレゼンテーション能力、エチケット、そして周囲を巻き込む熱意、またそれに伝播され発生する助け合いの精神など、紐解けば会社経営や日々の生活、人間関係に活かせる要素は決して少なくないはずです。地域に貢献する事業を行うと共に、JC現役時、そして卒業してから地域に貢献できる「人材」を輩出するという側面がこの団体にはある筈です。「地域への奉仕」と「自分への投資」。卒業まではあっという間です。吉野青年会議所が40年に蓄積してきた有形無形の共有財産を生かしながら、果敢に新しい取り組みにも挑戦し雄気堂々、突き進みましょう。
【会員拡大】〜次の10年に向けての最優先事項〜
「次の10年に向けて」という理想論を延々と述べることが出来るほど吉野青年会議所が置かれている現状は生易しいものではありません。現状では10年後の2021年に在籍しているメンバーは2名。30周年から40周年までの10年間が「このままでは危機に陥る」という期間であれば、これからの10年は「団体としての存亡」に関わる期間です。これまでも会員拡大に関する手法や方向性など様々な議論がなされ、より効果的なオリエンテーション運営、新たに設営することになった食事会、候補者リストの作成、情報の共有化など会員拡大への環境は大きく整備され、実際に大きな戦力となってくれている新しい仲間も増えて来ています。しかしながら毎年輩出する卒業生の数に入会数が追いつかず、会員減少の傾向には未だ歯止めがかかりません。手法の議論だけではなく、候補者リストの一新、広報誌の利用方法、事業内でのボランティアとの関係構築、賛助会員の是非など、ありとあらゆる可能性を議論し実践行動していきましょう。私は会員拡大の難しさを痛感する以上に3町5村のテリトリー内で「地域の為に何かできる事があれば参加したい」「異業種間の交流で何かを得たい」と感じている人数が現状で25名のみ、とは思えません。「地域住民の安全を災害から守る」という理念から各町村の消防団に入団する青年が当然のようにいるように、「JCの理念」に共鳴し、運動に参加してくれる人材はいる筈です。
「会員拡大は急がばまわれ」。即効性があり、また劇的な新入会員増加を確実にする魔法のような方法などなく、あくまで地道な活動の上で結果がでていくもの。決して諦めず、私たちが日々行なっている運動に自信をもって堂々と会員拡大に取り組み、結果を求めていきましょう。
【事業】〜対外効果の追求〜
青年会議所に於ける理念や「まちづくり」「ひとづくり」に関する発信の場として「事業」は切っても切り離せない関係であることは言うまでもありません。吉野地域は、歴史、文化、自然、地場産業などの魅力がたくさんあります。しかし実際に生活している我々自身がその魅力を気付いていない部分もあるでしょう。「あれがない、これがない」という前に、地域が有する財産で潜在的な需要を掘り起こせる大きな可能性を事業を通して広げていきましょう。またそれが「内向き」であるのか、「外向き」であるのかで、将来の地域における吉野青年会議所の存在意義が問われるのではないでしょうか。加えてこれは単に「対外事業を増やす」という事ではなく、我々が事業を通して発信する内容が地域の人々のニーズに合っているか、いないか、ということも追求していく必要もあります。継続対外事業として定着している「桜のシンフォニー」、「青少年事業」のより一層の充実を図ると共に、新たなテーマを設定し企画・開催出来る対外事業を起こしていきましょう。理念ばかりが先行することなく、またニーズに迎合しすぎた来場数目当ての「イベント屋」に終わるのではなく、主催者側と参加者の双方が「win-win」の関係を保てる事業企画を考えていきましょう。しかしこれは、これまで行われてきた「メンバーの資質向上」を目的とした対内事業が不要ということではなく、「同じ吉野地域の人間として、対内で有効ならば対外でも有効ではないのか」という発想です。予算、広報・告知方法、キャパシティ設定など工夫が必要な部分もありますが、「対外事業」の開催というのはどんなチラシ・ポスターよりも効果の高い「吉野青年会議所の広告塔」でもあるはずです。言わば、効果的な対外事業を開催していくことは、吉野青年会議所の名を地域の方々に認知してもらう場を広げることでもあり、より一層会員拡大を目指す上でも必須事項です。「吉野青年会議所」をこれまで以上に地域の方々にもっと知ってもらいましょう。
「今、JCとして地域に何を発信できるのか」と「今、地域の人々が何を求めているのか」。
常に意識し、失敗を恐れず、成功に奢らず、積極的に「地域に向けて」の事業を企画していくことで我々はもっと「吉野地域に必要な団体」になれる筈です。
【資料と会議】〜「段取り八分」の重要性〜
青年会議所は会議において全ての物事を決定し、運動に繋げていく組織です。当たり前の事ではありますが、当たり前であるが故、「事業を行う通過儀礼」として会議内容がセレモニー化している部分がないでしょうか。本来、委員会段階で討議すべき内容が正副会議、理事会などで討議されてはいないでしょうか。各位が限られた時間を捻出して会議に臨む以上、より集中し、充実した、常に「より良くなる事業にするには」という意識を共有できる時間にし、意見を活発に出し合いましょう。またそれには諸会議における題材となる「議案」の精度は高さを求められて当然です。精度の高さとは必要以上に貼り付けられた添付資料の多さではなく、「実施に至る背景」、「事業目的」、「その目的達成に選んだ手法」がそれぞれに委員会で明確にされ、記載されている事がその基本となります。議案フォーマットに「どうでもいい項目」は存在しません。一例を挙げれば事業報告における事業などでの失敗やトラブルの記入報告にしてもそうです。ミスを自ら認めて、しかも他人の目にさらすということは、いささか誇りを傷つけられることかもしれません。しかし、ここには人間はミスを犯すものという前提の下、個人や委員会の失敗を集団全体の共有財産にすることで、失敗から教訓を引き出し、災い転じて福となす、の喩え通りに、マイナスのカードをプラスに変えてしまおうとする考え方です。資料には美しい文章や複雑難解な記述など必要なく、出席者に事業の企画目的、内容を頭の中に想像させることが出来る資料なのかどうかが最優先に求められます。会議と資料は一体のもの。会議は事業をより良くするため、トラブルを未然に防ぐシミュレーションのとして重要な「段取り」の場でもあります。特定の役職任せではなく、皆が常に高い意識を持って資料作成、会議に臨みましょう。
【ラブリバー事業】〜地域レベルの自然との共生〜
2012年、吉野青年会議所は吉野川、紀の川流域の吉野・五條・伊都・那賀・和歌山の5つの青年会議所で構成する「河川環境の向上を目指すことにより、明るい豊かな地域社会の発展に寄与すること」を目的とした「ラブリバー推進協議会」の主管を務めます。河川は吉野川、紀の川、或いは地域における全ての河川で我々に様々な恩恵を受ける財産であると同時に、2011年に紀伊半島全域に上陸した台風12号の被害で明らかになった、「河川」そのものでなく「山」とリンクした災害をもたらす側面があるということを嫌というほど痛感しました。その景観、鮎を代表する川魚など遠方から人々を呼び寄せるレジャーとしての一面。一方、不法投棄による環境破壊、水質悪化、山の荒廃による基本水量の低下などの一面。人と自然が共生出来る地域社会に向けて「ラブリバー推進協議会」として何が出来るのか。「ラブリバー」というその名のとおり、全てを受け入れ「川を愛する」人を育む事が出来るような事業を開催しましょう。
【おわりに】
私は2012年で入会して12年目を迎えます。この団体は私にJCに使う時間や労力を費やした対価として、視野を広く大いに見聞を広めること、高い見識を持つ大切さ、また様々な人間関係の中で互いに投げ合った言葉や感情は最終的にはブーメランのように自分に跳ね返って来るということも教えてもらいました。それは今まで12年間、JCに使った時間に見合うに足る対価であったと卒業年度を迎える今では感じています。楽しいと感じる時間、充実感に満たされることもあれば、なかなか思っていることが理解されなかったり、こんなはずじゃなかったのにという思いにかられるときも必ず来ます。そのとき、折れそうになる心を踏みとどまらせるのは、もしかしたら、これは自分のためにやっているのだという思いより、むしろ俺が今ここで放り出したら、一体誰がやるんだという、端から見れば馬鹿馬鹿しいほどの自負かもしれません。しかし、そういった困難という壁を越すことで見える景色が必ずあります。
人は、人と出会ったり未知の世界に自ら飛び込んだりすることで、今までの殻を打ち破って新しく生まれ変わっていくと私は思っています。
ただし、そこには肉体的にせよ精神的にせよ若干の痛みがともなうこともあるでしょう。
失敗から立ち直ろうとするとき、克服して再び前に進もうとするときもそれは変わりません。起こる事象に目を背けず、常に前向きに全メンバーで出来うる限りの運動をしていきましょう。
最後に、我々の運動を支えていただいている全ての方々への感謝を忘れず、実りある2012年度にすること、そして吉野青年会議所で培わせて頂いた12年分の総力で理事長職を全うすることをお誓い申し上げ、第41代理事長としての所信とさせていただきます。


