闇を駆け抜ける


what a cold night it is. we are going to the seaside in darkness.

ぼくらは闇を駆け抜ける。ひそかに計画していた脱出なのだ。ぼくと君の64年型ムスタングはくもりのない冷たさの空気をまっしぐらに突っ切って行く。時間がどれだけたっても、月の位置が変わらないのは、スピードがあまりにはやいから。すべてがぼくらを味方している。なぜか、光はぼくらだけを照らして、焼けるようなハイライトを形成する。

there is lightning that we have been waiting. let it come down on bottom of our hearts.

光の追いかけてくる方向に一発を放ったら、大爆発の放物線が積乱雲よりも高く、ぼくらを覆う。ハンドルを引きちぎった君はもうがまんできない。先ほどから気がつかなかったが、白い包帯で目隠ししてた。走行する時にはそれが欠かせないのだろうか。爆発音は炸裂した瞬間に静寂をひきたたせ、短い時間の間に数回くり返した。

reaching to the point of killing animals, we surrender the heart beat to vanishing point.

『ここまで生きてこれたのがもうけものさ。』

君が、不吉な大声で耳もとで叫んだら、後部座席に最後の審判のお出ましだ。

『おまえらwebのデザインをないがしろにしたな!』

なんていう鋭い指摘だ。ぼくはその一言で、はやくもかしこまる。たしかに昨年来更新しているサイトは無愛想で、洒落た雰囲気などかけらもない寒々としたものだ。だが、84時間もの間不眠不休の状態で発狂寸前にまで自らを追い上げて、作り出したものなのだ。最後の審判ごときの出る幕じゃない。そうとも!引いたら格好がつかなんだ!想像もできないような風圧の中で、ぼくは立ち上がり内臓を絞り出すような快感とともに、思いのたけを咆哮する。

let me be with you until the day i die .becouse you are the only one to igonore everything but me.

『おお、神よ!あなたほどの役立たずをぼくは知らない。人をもっともらしい言葉で誘惑し、土壇場で消え失せては、そのことさえ御立派なへりくつで飾り立てる。なんという体裁のいいビジネスなんだ。いつの日か正体をばらしてやる!』

i decided to practice final weapon .

ぼくは空中高く最後の審判を吊るし上げ、奇妙な果実みたいに揺れているその姿を満足そうに見上げた。最終兵器をぶちまけてやったのだ。

ところが、あれよあれよと言う間にぼくの見ている景色は消失点が上がっていき、そして身体の下のほうから、沖縄の紅型の色と形に変化していくではないか。おまけ首にねばねばするロープをかけられ、巨大な地蔵のような物体になって空中に浮かんでいる。なんということだ、最後の審判とぼくは入れ替わってしまったのだ。水平線に遠く目をやると、ぼくの神が応援しているのか、鍋釜の類いが放物線を描いてきらきらと打ち上がり、かすかな歓声すら聞こえている。でも今は、ああ見えるな、としか思わない。

no more war.

身体の変化に恐れをなしたぼくは白旗を上げた。その途端、海上に浮かんでいる伝馬船の上にたたき落とされた。ひざを木の床にしこたま打ち付けて、必死の思いの着地だ。あたたかい伝馬船の感触と木のにおいが、とてつもなくうれしい。あとは呼吸も脈も限界まで早く、君のところへ漕いで行くのみ。なにげない顔をして君は岸壁にムスタングをとめて待っていた。

『ラルクアンシエルのバイクの歌知ってるか』

はじめて君に声をかけた。

『あたぼうよ』

君は答える。その短いやりとり。すべてが解決したような、別人になれたような気分を味わえる。さきほどと同じようにぼくは後部座席に乗り込み、君はエンジンキーをまわした。持続するその騒音がとても心地よくやさしく聞こえる。徐々に加速しながら、風をきる音が高まり、視界には海が広がっていく。そして、いつの間にか闇を駆け抜けてしまっていたことに気付いた。これからも同じことをくり返すことを予想しながら。