空に咲く


空に咲く ひまわり見る時 いくつもの 過ぎ去りし夏 そのままにあり

日は暮れて あまたの花を 添えしめよ 今日の苦闘の 至仏の山へ

尾瀬ケ原 木道進めば 愛しき 童の声に 朝霧晴れる

山上の シャクナゲ露に 濡れて咲く レンズ交換 また忙しき

雷の 感触残る ずぶぬれの 下山終えたり 尾瀬沼静か

夏空を 心にとどめ 目を閉じる 旅の終わりの バスにゆられて

地下鉄の 上り階段 続きたり 青き小さき 四角き空に

下車すべき 駅乗り越して あてどなし 心やさしき 通勤の朝

冬の街 映画通いぬ もひとつの 人生をこそ 生きるためには

元日の 暗き夕暮 こたつに入り 一心に思う やさしき女を

6月に 花ことごとく 開くらし 神はまた呼ぶ 急げよ北へ

恋ひ恋ひて 旅ゆく時は いと青き 空に添えてよ 礼文ウスユキ

風光り 花咲く道に 利尻見ゆ 山の辺に波 頂に雲

満開の 桜のゆらぎ 静かなる 真昼の風が 鴨川に吹く

仁和寺に 花の一切 散りしとき 夏の光が いつも待ちたる

空暗し 運動会を 抜け出して 身を閉じるべき 静かなる午後

死ぬことを もって潔し よしとせず 吾ここに在り 君に照らされ

散りゆきし 人への拍手 喝采を 賎しむ心 冬に芽生えり

思春期より 君を苛む 同性愛 告白の時 月は傾く

日頃より 汚きまちと 憎めども 河内音頭の 今宵誇らし

みつとせの 心の重荷 消えぬれば いざ旅ゆかん 過ぎ行く春に

吐く息の つとめて長き 6月の 朝はイェーツの うたに目覚めり

パンパンを こよなく愛し ける君の 物語こそ 懐中にある