四神相応と北向き神社V
都市機能
●白虎●
【素材屋小秋】様サイト内より
【白虎のイラスト】を使用させて頂いております

自然の構築物である山や川、人工的な構築物である鉄道、その双方に伝わるとされる「気」というエネルギーのようなものは、無理にでっちあげられた共通要素であるかに見えます。実態の無い観念の産物と考えて間違いないでしょう。

「気」とは存在そのものが怪しげであり、怪しげな「気」が龍脈を伝うなどとはこれまた怪しげな話です。となれば、「気」との関係が深い「四神相応」もやはり観念の上のものであり、それが現実世界に実際に力を及ぼすものとは考えられません。



平安京以降と平城京以前で「四神相応」のあり方が違うことも、それらが観念の産物ということの傍証になるでしょう。平城京も藤原京も、四神相応であったと考えられることがありますが、地勢の違うそれらが共に四神相応とされるのは気や四神が観念の産物であるからです。

私たちが住むのは地球の北半球にある日本列島の上であり、気や四神に確固とした物理的な実態があるなら、古代人に地球という概念があろうがなかろうが「四神相応」のあり方に変化はあり得ません。これはそのまま四神そのものを否定する方向へ考えていくこともできるでしょう。

平安京を始めとする日本の都は多くが畿内に位置します。その場合の「四神相応」は、平たく考えると次のようになります。

玄武(北)から朱雀(南)にかけては極々緩やかな傾斜地となり、日当たり・水はけともに良い場所であるでしょう。龍脈のような山や青龍のような川があるなら地下水脈もあり、飲料水や生活用水確保も容易であるでしょう。南に湖沼があるなら、日当たりのよい方向に平野部が広がり、その向こうに湖沼が広がることになるでしょう。



まつろわぬ者と仮想される敵は化外の地から、畿内を中心に考える場合はその東からやってきます。

ならば、青龍(東)に大きな川があれば最終防衛ラインとして活用可能となり、北にある山地帯と相まって、北と東に天然の防衛拠点を持つ都市となるでしょう。白虎(西)に街道があるなら、それは山陰道・山陽道さらに瀬戸内海を越え、西国や大陸へ向けての交易ルート・物資の輸送ルートとして機能するでしょう。

気や四神を考えて「四神相応」の地を選び都市を構築する場合、特に機内が舞台であるならば、そこは結果として人が集まりやすく権力機構を運用しやすく、交易ルートを確保しやすく、軍備を整えやすく、つまりは都市機能がうまく稼働する地域と見ることができるでしょう。

「四神相応」の地が栄えるのは観念の産物のよるものではありません。結果として、都市機能が上手く稼動したかどうかということに尽きると読むことができます。





四神相応と北向き神社U
四神相応と北向き神社W



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