150日の方舟

 

すべてを飲み込む
大洪水の日に
方舟(はこぶね)は空を目指した

出発のとき
600歳のノアが集めた
動物たちの鳴き声が
響き合って
汽笛になった

風に煽られた雲は
世界の果てまで
広がり伸びて
地球を覆っていた

方舟が漂着した
アララト山の
いただきは
雲の上

たくさんの命が
ガレ場を越え
ザレ場を滑り
倒木をくぐって
せせらぎを渡った

全てが死に絶えた
見知らぬ地上は
洪水で洗われて
神聖な匂いがした


それからまた
人間は増えていった
果たして正しく
増えていったのか

今日の空は
静かに青いばかりだ