すべてを飲み込む
大洪水の日に
方舟(はこぶね)は空を目指した
出発のとき
600歳のノアが集めた
動物たちの鳴き声が
響き合って
汽笛になった
風に煽られた雲は
世界の果てまで
広がり伸びて
地球を覆っていた
方舟が漂着した
アララト山の
いただきは
雲の上
たくさんの命が
ガレ場を越え
ザレ場を滑り
倒木をくぐって
せせらぎを渡った
全てが死に絶えた
見知らぬ地上は
洪水で洗われて
神聖な匂いがした
それからまた
人間は増えていった
果たして正しく
増えていったのか
今日の空は
静かに青いばかりだ