アゲハが羽化したゆっくりと動かす翅(はね)の片方が折れていて小さいサナギから出て折れ曲がったまま乾いてしまったのだろうりっぱな眼りっぱな触覚折れた翅飛べないアゲハはそれでも飛ぼうとする手を差し伸べるとアゲハの重さが指に乗り腕へと這い上がる歩く力生きる力でも折れた翅悲しいのはたぶん観察者だけ空を目指しては地に落ちるそれを淡々と繰り返す自分の軽さで飛べるはずなのに自分の重さで地に落ちるそれをアゲハは淡々と繰り返す