雨の底

 

湿った話声
湿った動作
人々が持ち込んだ雫で
車内は湿度に満ちていた

バスは土砂降りの中を走る

白く滲むイルミネーション
ぼやけたカフェの金色の光
浮くように傘が行き交う舗道

窓を横切る雨粒は
次から次へと後方へ
過去へと飛び去ってゆく
可視化された時間のように

バスは大雨の底を走る

前方を未来のように
明るく照らしながら