砂漠から吹く砂混じりの風は
街の露店に並べられた
瑠璃色の宝石に触れて屈折し
違う青を生む
|黒橡《くろつるばみ》のアバヤの女の
白い指がつまんだ宝石は
瑠璃紺に変化して
ニカブの奥の瞳と同じ色になる
路地は異国の匂いの通り道
賑わいに紛れながら空を仰ぐと
完璧な水色にしばし|見惚《みと》れる
その色はまた
砂漠の向こうにある海の色
幻の波音が空想者を誘う
空の青と海の青
バニラの雲が浮かぶ空
レースの波が寄せる浜
青碧に広がるわたの原
今少しここで遊んでから
帰ることにしようか
時空の船に乗って