ふれる春

 

真反対が背中合わせ
狂(ふ)れる春
夢か現(うつつ)かわからない
ブレる春

遠い遠い地平線の
赤い砂漠に
沈む夕日の大きさは
誰も知らない

つかみどころがない
この世界

せめて
砂漠の真ん中に
天に届きそうな
木を植えて
日時計にでもしようか

目に見えないものを
よりどころとする
古代人にならって


白い病室に青い風が
あふれる春