薄明に咲く

 

洗練された空虚の世界で
悲しみの種を拾った

美しい色ではなかったが
手のひらで眺めると
心に響く
悲しみの色をしていた

風が憂鬱そうに
額をなでる朝

詩作の庭に
黒い種を蒔いた

6憶光年先の宇宙に
星の種を蒔くように

種は小さく嗚咽して
自分の涙で
青々と葉を伸ばし
透き通るように
白い花を咲かせた

まだ明けやらぬ
薄明の空は
薄いむらさき

花びらの雫が
空の色を映して
息するように
揺れた