
言い出せぬまま鱧懐石はデザートへ いいだせぬままはもかいせきはでざーとへ
三夏の季語。
鱧料理といえば、京都。
谷崎潤一郎が通っていた名店もある。
たとえば、老舗のカウンター席に腰を下ろした二人
熟練の料理人の包丁さばきの音を聞きながら…
突出しは「鱧の煮こごり」
鱧の甘みとうま味を引き立てるような薄味
ひんやりとしたゼラチン質が夏の食欲をそそる
梅肉醤油でいただく鱧の薄造りは
透き通っていて見るからに涼し気
引っかかる骨がひとつもないのは
丁寧に骨抜きされているのだろう
そんなことを考えながらコースは進んでゆく
彼女は器に興味があるらしく
その美しさを愛でている
どんな奥さんになるのだろう
こういう器をそろえたりするのかな
などと想像しつつ、鱧を味わいつつ…
今が一番いい時だよね
誰かが言っていたけれど
だからこそ今を楽しみたいとも思う
そして、至福のコースはやがてデザートへ