季語:花(はな)

 

千の音花びら揺らし月に消ゆ せんのおとはなびらゆらしつきにきゆ
つま弾きに色づく花と浅き夢 つまびきにいろづくはなとあさきゆめ


晩春の季語。


平安神宮神苑の社殿で演奏会が催されたのは春の初めの頃

宵闇にライトアップされた桜の花枝の間から
遠くに見える雅楽師の小さな姿を眺める

枝垂れた桜の花房の空に
やがて黄蘗色の月が浮き出して
池泉を回遊する人々を
奥ゆかしく照らし始める

流れる音楽は雅楽…
ではなくて
いにしえの風情を揺さぶるような
エッジの効いたロックだった

したがって
古雅な庭園を徘徊する足取りも
軽くリズムを取りながら
耳慣れた一節を口ずさみながら
ということと相成ったのでした