春になれば

 

きみが最後の旅に出る日まで
わたしは何ができたのだろうか

繰り返される想念は
白い|靄《もや》となって
目の前を漂い
涙の小粒が浮遊する

心の底にたまってゆく
融けない|澱《おり》が
質量を帯びて
重たげに存在し始める

このまま視線を
落としていたら
きみは悲しむだろう
わたしがわたしに囁く

まず水平線を見て
次に空を見上げる
そして深呼吸

澱は澱として
抱えていこう
そのうち何かに
変化するかもしれない

多分
春になれば