雛祭実家のにほひ雨の音 ひなまつりじっかのにほひあめのおと
仲春の季語。
実家では床の間のある和室に飾られていた雛人形
深夜、トイレに行くときに部屋の前の廊下で
なんとなく気配を感じたのは気のせいだろうか
大人になるにつれて怖い妄想は
だんだん幻想の世界へと仕分けられる
そんなことはあり得ないと否定する理性のお蔭だ
今はマンションの洋室のリビングに飾られる雛人形
カーテンを開ければ朝日に照らされ
夜は明るい照明の下だ
けれども
雨がしとしと降り
実家のにおいを感じたような気がする日
子どものころの妄想がふと蘇る
少し怖いけれど
少しホッとする