緋蒼~ひそう

 

あの日
早朝の空に
残煙とともに
立ち上ったのは
尊い紫色の
無数の魂だった


緋と蒼の
真の紫の夜が訪れると
智と巧と利の
此岸が色褪せて
波羅蜜(はらみつ)の夜となった

満月の朝に
彼岸へと旅立った
悲壮の群れは
すべて光へと
導かれたのだろうか

太陽と地球と火星が
一列に並ぶ夜が
もうすぐ巡ってくる

しぶんぎ座の流れ星を
見つけた空はうす紫
遠い記憶の色
のような