色葉 ~ いろは

 

夏を忘れて
秋が終わるころ

錦の色で寿ぐのは
秋の女神
龍田姫

葦原中国(あしはらのなかつくに)よ
豊かなれと
万葉を染める

色は匂えど
散りぬるを

匂うように
美しい色も
いつかは
褪せてしまう
けれど

色鮮やかな
ひとときを
永遠という
玻璃の次元に
封じ込めて

冬を待つ
青い空