石ころに刻む孤独

 

チベットの岩山の
砂礫の地にあるマニ壇
そこに積み上げられたマニ石には
人々の思いや経文が刻まれている
という

ひとりひとりの孤独の集積
ひとりひとりの存在の集積

青を極める空を見上げて
|天翔《あまがけ》る鳥を見上げて
灰色の石は動かない

雨季の長雨にさらされて
乾季の大風にさらされて

石ころに刻まれた孤独は
段々と石に馴染んでゆく

そのうち
自然と一体化して
孤独の意味もなくなってゆく