一両だけの列車野を分け鰯雲 いちりょうだけのれっしゃのをわけいわしぐも
三秋の季語。
一両だけで走る列車を単行列車という。
列を成していないのに「列車」とは?という疑問はさておき…
広い野原を行く列車のイメージはひとりぼっちだけれど、自由。
レールの上しか走れないという不自由はあるにせよ…
人に置き換えれば
孤独だけれど、自由。
空気のある地球上でしか生きられないという不自由はあるにせよ…
雪に覆われた野を走るときは
眠れる生命力の中を行く
花咲く野を走るときは
芽生えの生命力の中を行く
そして
涼風が吹き通い始める季節には
秋の色に染まった野を走る
果てしない鰯雲の
静かににぎわう空を目指すかのように