時間のない駅

 

あの駅に降り立ったのは
夢の中だったのだろうか

知らない月と太陽が
空にあった

夜明けだったのか
夕暮れだったのか

明るみの中をゆく人は
後姿ばかりで顔がない

駅名はどこにもなく
時計には針がない
たぶん
時間もないのだろう

光の中へ溶けてゆく線路が
現在へと続いているのなら
私は列車に乗るのだろうか

時間のない駅で考える

私が生きてきた過去
ではない過去に存在する
駅のプラットホームには
春のような
秋のような
日が射していた