海を刺す雷動脈のごとく うみをさすかみなりどうみゃくのごとく
三夏の季語。
稲妻が海に突き刺さる
動脈のように勢いよく
有無を言わさぬ激しさで
海の水は地球の血潮
だとしたら
暗い雷雲に隠れた何者かが
地球の生気を欲しているのだろうか
あるいは
血を流し続けた地球が
天に輸血を乞うているのか
目を逸らせたくなる恐ろしさと
凝視せずにはいられない神聖さは
この世の終わりさえ感じさせる
けれども
雷雲はそのうち去ってゆく
大げさな幻を見た
それだけのことかもしれない
そして
始まりと終わりの残像の中
地球はいつも通り自転している