季語:重ね着(かさねぎ)

 

重ね着ればいささか時の鈍くなり かさねきればいささかときのにぶくなり


冬の季語。

究極の重ね着と言えば、十二単だろう。
盛装すると、その総量は 20kg ほどにもなるという。

ちなみに、今着用しているダウンジャケットを測ってみると、約 200g 。
ということは、ダウン100枚分…無茶な比較とは知りつつ、驚きの重さ。
そのうえ、おすべらかし(大垂髪:平安時代の貴族女性の髪形)の重さを加えたら、
華奢な姫君にはかなりの荷重であったと想像できる。

これは正装なので特別な行事のときにのみ着用とはいえ、必然的に動作はおしとやかになったことだろう。

ゆっくりとした動作はゆっくりとした話し方につながり、感覚的な時間もゆっくりと流れていた時代。
今でも雅楽や歌会を鑑賞すると、その時代の時の流れを感じることができる。