
減速する思ひのゆくへ蝸牛 げんそくするおもひのゆくへかたつむり
三夏の季語。
ベランダの壁に見つけたカタツムリの殻
取ろうとしたら
強めの吸盤をはがすような感覚で
思いのほかしっかりと貼りついていた
捨てるには忍びなく
大きな鉢植えの木の根元に転がしておいた
そして数日後
植木鉢の縁をゆっくりと動くカタツムリを発見した
まさかの復活?
調べてみると仮死状態で夏眠や冬眠をする…とあった
乾燥した状態で低温や高温をやりすごすのだという
つまり、鉢植えの水分で元に戻ったというわけだ
干しシイタケみたいだなんて思いながら
ゆっくり移動するカタツムリを眺めていると
先ほどまで頭にあった懸案事項はどこへやら
人間も同じようにできたらどうだろうなどという
『モロー博士の島』ばりの
ちょっと不気味な妄想に走っていて…
気が付けば、カタツムリは鉢の外へと出てしまったのか
姿が見えなくなっていた