季語:翡翠(かわせみ)

 

翡翠やかむりのせたきつむりかな かわせみやかむりのせたきつむりかな


三夏の季語

翡翠(ひすい)色の孤独な鳥、翡翠(かわせみ)を描いた詩がある。
W. H. デーヴィス(William Henry Davies;1871~1940)の「翡翠」という詩の一節。

It was the Rainbow gave thee birth,
And left thee all her lovely hues;
And, as her mother’s name was Tears,

美しい羽根の色を与えたのは虹
虹の母親の名前は涙
「虹」と「涙」から生まれた鳥…それが翡翠

と詠われる鳥


頭頂部が少し平らなので
ちっちゃな王冠を載せてみたいな
どんな王冠にしようかな
と考えていたら
英名は「kingfisher」とある
多分魚を獲るのがうまいのだろう

この呼び名を考えた人も
小さな頭に冠を載せた姿を想像したに違いない
と思うとニヤリとしてしまう

一方、日本名はその羽根色に因(ちな)んでつけられた
そして「ヒスイ」は「カワセミ」の羽根の色に因んで…

小魚を獲る才能に感嘆した国もあれば
空を飛ぶ宝石として愛でた国もある
そんな鳥だ


カワセミあれこれ

「翡翠」:翡は雄のカワセミ、翠は雌のカワセミの漢名

英名:(Common)kingfisher

ギリシア語では Halcyon(ハルシオン)
 … ギリシア神話「ケユクスとハルキュオネ(アルキュオネー)の物語」より

体長スズメくらいの大きさ、ただし、くちばしが大きいので全長は16~17センチ

体形:頭とくちばしが大きい … くちばしは全長の4分の1近くある

住処:水辺の林…寒い地方には少なく、とりわけアフリカ、東南アジア、オセアニアに多い

性質:警戒心が強く単独行動

食物:小魚や水生昆虫…好物はヒメハヤとトゲウオ


英米文学鳥類考:カワセミについて」より抜粋