黒鳥の旅

 

幻と現世の架け橋は夢
溶解剤のように境界を溶かし
緩衝剤のように衝撃を和らげる

暗い道のりを旅する日々は
覚醒しながら見る夢のようだ

闇に埋もれそうな
赤い提灯の連なり
知らない言葉で
手招きする娼楼の女
しみじみと悲哀を歌う
つま弾きの音色

初めて見る未知の光景が
あたかも既知の情景のように
懐かしさを呼び覚ます

ようやく帰って来た
ここに

闇の中に見たあの色は
半世紀前の亜細亜の一隅の
小さな村に咲いた幻花

寂寥に潜む
歓楽の緋色だった