黒鳥の旅

 

幻とうつし世の架け橋は夢
溶解剤のように
境界を溶かし
緩衝剤のように
衝撃を和らげる

美しすぎるものは夢
文字にすると
きれいな詩になってしまう

哀しすぎるものは夢
永遠を信じられなくて
半眼で眺める


暗い道のりを旅するのは
覚醒しながら見る夢のようだ

夢の途中
闇に埋もれそうな
娼楼の提灯を見た

それは
半世紀前の亜細亜の一隅の
村に咲いた幻花
寂寥に潜む歓楽の
緋色だった