言花~ことば

 

百年前の色で咲く桜の森

今年も地球は無事に回り
もの言わぬ花が
それを寿ぐ

花びらが言花となって
宇宙の闇へと散ってゆく

天上の存在へ供えるため

人々の
歓びの歌声と
受難の息づかいが
空を昇ってゆく
おごそかに

おしべの先で光るのは
誰かの魂の
輝きかもしれない
哀しみかもしれない

やがて光は拡散し
真空に吸い込まれて
消えてゆく

言花の香りだけを
ここに残して